たてつづけに

 高校時代の後輩に、とても霊感の強い人がいました。

 部活動の帰りに我が家へ遊びに寄ることとなり、部屋へと案内することになりました。


 すると、その後輩は部屋へ入るや否や、ベッドの方を急に見始めたのです。

 初めての部屋に入ったので、部屋を見渡すのは普通だと思うのですが、後輩のその視線の向け方は普通とは違っていたのです。


 誰もいないはずの部屋なのに、まるでそこに誰かがいるかのような。




「最近、この近くで誰か亡くなりました?」



 後輩が突然そう聞いてきたので驚きました。


 なぜなら、ほんの数日前に裏通りの家で自殺した人がいたからです。


 そのことを説明すると、後輩は考え込むように黙り込んでしまいました。

 妙な雰囲気だったので、私も何も言うことができず、動くこともできませんでした。



 しばらくして、後輩が再び口を開いたのです。







「今日のところは、すみません……帰らせてください……」





 後輩が帰った後、私は妙に不安な気分になって、自分の部屋から出ました。


 しばらくリビングで過ごしていると、帰路についた後輩からメールが届いたのです。




 ***


 From:◯◯

 件名:先輩へ


 今日は、すみませんでした

 あのあとよく考えて見たのですが、多分、僕の気

 のせいだと思います。

 部分的に模様が変なふうに見える時ありますよね。

 やな思いをさせてしまってすみません。おわび

 に、今度何かおごりますね。

 あ……とりあえず忠告だけ。この後、もうしばら

 くは人数が多い部屋にいたほうがいいですよ。

 霊感は強い方なので、ちょっと過敏なだけかもです

 が……。

 居間だとテレビとかの雑音があって気もまぎれ

 ると思いますし……。


  直接は伝えられないので……間接的になってしまいますが、

  僕から言えることは、左側に気をつけてと言うことくらいです。


 ***



 メールの内容に気づいた私は、その日は居間で寝ることにしました。







 後日、後輩から聞いた話によると、私の部屋のベッドの上に双子が座っているのが見えたらしく、その子たちからすぐに逃げるように言われたそうです。

 ただ、それ《・・》に気が付いたら目をつけられそうなので、ちゃんと伝えられなかったことを謝られました。






 それの影響かはわかりませんが、裏通りでは、それから1ヶ月の間に立て続けに人が亡くなりました。


 裏通りに住んでいた人たちは皆お年寄りでしたので、単なる偶然かもしれません。自殺された方の住む家は、私の住んでいた家の真裏でした。

 





 みなさんは、もうおわかりですよね?

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