薄緑色の足
子どもの頃、というのはとても多感な時期なのかもしれません。
私が子どもの頃、2階の部屋が居室兼寝室になっていました。
8畳くらいのスペースで川の字に寝ていたのは良い思い出です。
深夜、もうすでに家族は寝静まっていた時、自然と目が覚めました。
なぜか妙に視線を感じました。
部屋の天井の角の部分がいつもより真っ黒に見えて、そこから何かが這いずって出てくるのではないかと思い、布団に潜りました。
布団に潜ってさえいれば、妙な視線は感じずに済む――。
子どもの頃の浅はかな考えは時に裏目にでるものです。
そのまま気にしなければよいものを、気にせずにはいられない。
布団を被っている暑さも合間って、被っていた布団の隙間から冴えてしまった目を覗かせました。
布団の隙間から覗き見る……。
すると、何か妙なものが見え始めたのです。
薄緑色で透き通ったいくつもの足が、枕元をうろうろしている……。
それが一体なんなのかわからないまま、私は布団に潜ったままその足がいなくなるのを必死で耐えていました。
すると――ガバッと布団を引き剥がされました。
心配して様子を見てくれた父でした。
足なんていないよ、と言って安心させてくれたのでその後はポカリを飲んで何事もなく寝ました。
それから、一度も足を見ることはなくなりました。
まぁ、次の日、おもちゃ箱にはいっていた人形の足がなくなっていたんですけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます