3話② エメラルドアイ

新入生代表挨拶で一位の顔が拝めると思っていた。しかし、その人は棄権し、2番に良かった私になった。まぁいいと思った。いつも壇上に立つとざわざわとした。私の顔は整っている。健康にも気をつけており、非の打ち所がない。それだけに一位ではなかったことが悔しかった。


クラスは一年五組、横の席には神木竜星がいた。受かっていたのだ。意外だった。

どうでもよかった。寝ていたので声をかけると、反応はしたが、嬉しそうにはしなかった。自分で言うのもなんだが、美少女に起こされているのにこの態度はイラつく。

無神経なやつだと思った。


休み時間になると私の周りはクラスメイトに囲まれていた。いつものことだった。

八方美人ではない。適度な距離を保つことが重要だ。


彼は授業中よく寝ていた。その度に教師に怒られていた。しかし、彼の覇気のない返事はいらつかせるためにあるようだった。


文化祭の季節になった。この学校は文化祭までが短いそれまでにいいものを仕上げる必要がある。

なにせ内申点が上がるのだ。逃す手はない。

学級委員長になり進行していく。自主作成映画を作ることになった。クラスは一致団結し

いい方向に向かっていた。


神木は手伝いはするが科学同好会にばかり力を入れていた。


そのままうまく行くはずだった。


映画は完成した。プロのものと同じレベルになったと自負している。これは優勝しただろう。投票によって決まるのだが楽しみだった。


文化祭当日の朝、教室の中にあった映画を記録したものはみるも無残なものになっていた。


この学校でもこんなことがあるのか。絶句した。一年五組の発表はできなくなった。

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