サクヤ編第5話 永遠の契り

 サンダーは戦龍を倒した。

 その後、サンダーは倒れるように意識を失った。それほどまでにこの戦いは激しかったのだ。


「なあサクヤ、お前がいなかったら私はサンダーを戦龍に殺させてしまうところだった。ありがとうな」


 ヴァーミリオン先輩は私へ言った。

 しかしその言葉の意味が分からない。私が一体何をしたというのだろうか。


「あのー、私、何かしましたか?」


「何言ってるんだ。サクヤが私たちにこの現状の記憶を見せてくれたんだろ」


 そういえばさっき、まるで記憶がどこかに流れていくような感覚に襲われた。

 これがもしかして、おじいちゃんの言っていた私だけの特殊転移テレポーション


「とりあえずサクヤ、帰るぞ」


 ヴァーミリオン先輩の手に掴まり、私は立ち上がった。


「というかアリー、毎回言ってるけどさ、新入生をこんな目に遭わせないでよ。死んだらどうするんだよ」


「すまんって。これからは気をつけるから」


 それからサンダーは医療施設へと運ばれ、治療を受けた。傷は消え、何とか一命を取り留めたようだ。

 私を拐った少年たちも無事だそうで、退学処分となった。これで彼らの顔を見ることもないだろう。


 サンダーの傷が癒え始めた頃、私はサンダーの入院している病室を訪れた。

 そこには、窓ぶちに腰かけて空を見上げているサンダーの姿があった。


「サンダー、傷はもう治ったの?」


「完全に、とはいかないがな。とりあえず動ける程度には治ったよ。それよりも、ありがとな」


 サンダーは照れているのか、私の顔を見ずに言った。


「うん。サンダーが無事で良かったよ」


「なあサクヤ、俺は、弱いんだなって思った」


「ううん。そんなことないよ」


「いや、俺は弱い。だから俺は魔法剣士になるよ。魔法剣士になって、何もかもを護れるような強い男になる。だからサクヤ、側で見ていてくれないか?俺がサクヤを死ぬまで護り続けるから」


 それって……


「良いよ。だからちゃんと私を護ってよね」


「ああ。約束だ」


 それから何年も月日が経った。

 そして今、私は彼と世界を飛び回っている。


 ーー私のヒーローと。

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