第3話 檻に入らぬ動物(6月18日)

 北海道は札幌の東区にてクマが出没し、複数の負傷者が出たようである。

 果敢にゲートを閉めようとした自衛隊員の動画には驚かされたが、クマという自然の戦術兵器には有効でないというのにもまた驚かされた。

 退くに退けずの状態になったとき、私が平生を失って半狂乱になるであろうことはこの動画一本で容易に想像することができる。

 やはり人間は自然の前では小さく、その中で抗いながら生きていくのが性に合っているのだなという思いはこうした事件の度に思い出される。


 何やら話がまた横道にされようとしているが、この事件は猟友会による熊の駆除によって幕を閉じる。

 これによって、熊により襲撃を受けた自衛隊駐屯地による銃火器使用よりも猟友会への要請の方が優先されるということが分かったのは本日の収穫である。

 これを見た日本を仮想敵国とする相手が熊を原野に放てば仮想戦記になるのだが、それは私が某国に狙われかねないから止めておこう。

 それ以上に私が狙われかねないのは、動物愛護団体なのかもしれない。

 熊の領域を冒しながら、それに耐えられず飛び出してきた相手を駆除するなど人としてあるまじき行為ではないか。

 そうした行為を責めもせず飯の種にしようなど畜生に劣ると言われてしまえば、私は苦笑せざるをえまい。

 そのようなことがと言われてしまいそうであるが、実際に前線へと立った猟友会の方に批判ではなく思慮分別のない罵詈雑言が降り注ぐことがあるからファンタジーの出来事とは言い難い。

 この話を書く前に目にしたものであるが、

「うちの畑を猪から守るべく電気柵で囲っている」

「猪に対する配慮はないのか」

「このように設置者への配慮のないリプライが来たことがある」

というツイッターの投稿には笑わせてもらった。

 笑わせていただきながら、実際の自然界ではどのようにその配慮がなされているのかを考えたとき、人間が何か特別なものとは考えられなくなった。


 例えば、ある生物の個体数が増えた際には、その下位にある被捕食者の個体数は減少し、上位にある捕食者の個体数が増加してその生物の個体数が減少する。

 食物連鎖の授業で習うことであるが、言い換えれば自然界では個体数が減るまで容赦なく被捕食者は食われるということであろう。

 外来種の流入により固有種の数が減少するという話もあるが、有用もしくは折り合えぬ他種族は容赦なく排除されるというのがごく自然であるのかもしれない。

 そこに在るのは配慮などと言うものではなく、生き残るという意思のみである。


 また、侵入者は他者の領域を破壊し、侵入者を排除するというのも自然界ではごく当然の行いである。

 ミツバチの巣にスズメバチなどがやってくれば、ミツバチは群れることで高熱を与えこれを排斥しようと走る。

 逆に、スズメバチもまた生き残るためにミツバチの捕食を試みる。

 そこに配慮などあろうはずもなく、むしろ配慮することは他の生物への侮蔑ではないかと思うまである。


 では、なぜヒトは他の生物への配慮をしようとするのであるかといえば、それもまた生存戦略の一つだからである。

 どうやら利用する生き物を悉く絶滅していては、自然のバランスを大きく崩しヒトという種の保全を考えた際に悪影響がありそうである。

 そうしたことが分かってから配慮をするようになってはいるが、そこに可哀想だのなんだのという感情を持ち込んでからおかしな話になっている。

 故に、我から積極的に排斥しようとも思わぬが、同時に他のヒト個体が生き残りを賭けて他種族を排除することに批判することもできない。

 また、返り討ちに遭うことも批判することはできない。

 麻酔銃や捕獲という選択肢も現場にいない以上、生き残りに最適でなければ排除されたところで仕方のないことであろう。

 パンがなければバター入りのお菓子を食べればよい、という言葉は今の世にも生きた教訓を残しているようである。

 発言の主とされた王妃は、断頭台の露に消えたわけであるが。


【今日の出来事】

◎北海道の市街地にてクマ出没

 人里に出現してよいくまは球磨焼酎ぐらいである。

 あとはくまモンだけであろうが、時に悪戯が過ぎるので気を付けられたし。

◎河井元法相に実刑判決

 本来、元法相自らが法の下の平等を裁判で示す必要はないはずである。

 裁判の評決を買う金までは抱えていなかったということか。

◎苫小牧で暴走車が自転車をはねる

 調べていくと、信号待ちの車に故意に車をぶつける様子を撮影していた自転車に車を向けたようである。

 本当のことであれば、殺人未遂の疑いがかかる。

 それにしても、愛車をわざとぶつける人間に車を扱う資格はない。


【食日記】

朝食:フルーツグラノーラの牛乳がけ

 食後にいただいた量を確かめてみたが、風袋があるため正確な量は分からぬものの三十グラムほどであったようだ。

 なかなかに胃にずしりと来るため、私にはこれが適量ということだろう。

 見るとオーツ麦やらライ麦やらが使われているところを見ると、卵かけご飯に近い食べ合わせなのかもしれない。

 なお、我が家の飯にはもち麦が入る。

昼食:ごつもり醤油ワンタン麺

夕食:ウィンナー7本、大根カレー(3日目)2、ラフロイグ十年ショット1、ウィスキーのお湯割り3

他:タリーズブラック1

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