エミール殿下編

第1話 約束は守りましょう!

今日はわたくしの愛するエミール様と久しぶりのデートです。

しかも、今回はエミール様からのお誘いですのよ。

1週間も前から楽しみにしておりますの。




女子寮にエミール様が、お迎えに来て下さるのをお待ちしているところです。





それにしても、エミール様遅いですわね?

約束の時間を1時間も過ぎています。

専属メイドのココナもちょっと苛ついていますわ。




更に1時間後

「お嬢様、流石にこれは待たせ過ぎですわ。

誰か人をやって彼方に確認した方が良いのではないですか?」

確かに……いくらなんでも遅すぎますわね。

ココナの助言で使いの者を男子寮に向かわせました。




ほど無くして出した使いが戻って来て、わたくしに告げた言葉に耳を疑いました。




「エミール殿下におかれましては、一昨日から第四騎士団と共に地方視察に向かわれていて、お戻りになるのは早くとも10日後だそうです。」



え?!



エミール様、学園にいらっしゃらないの?

しかも一昨日から?

わたくしとのお約束は?

何故、何のご連絡も無く視察に向かわれたんですの?




珍しくご自分から、お誘い下さったから凄く楽しみにしておりましたのに……

わたくしその言葉を聞いた途端、気が遠くなって倒れてしまいました。




「きゃー!お嬢様お気を確かに!!」




目が覚めると学園のわたくしの部屋のベッドではなくて王都のタウンハウスのベッドの上でした。

あれからどのくらい経ったのでしょうか?




わたくしが目覚めた事に気が付いたココナが慌てて人を呼びに行きました。




お父様とお母様、使用人達がバタバタと走り込んで来て、わたくしが目覚めた事を喜んでくれています。




何とわたくし3日も寝ていたのですって。

お医者様に診察していただき、1週間は安静にしている事になりました。




わたくしが眠っていた3日間、エミール様からのお見舞いの手紙など一切なかったそうです。

おそらく何も知らないのか、他の事に気を取られているのでしょう。




王家からは謝罪とお見舞いがありましたけど。



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(エミールside)



その事に気が付いたのは、今回私と一緒に視察という名目で、【例のアレ※1】を回収に向かった第四騎士団副団長の一言からだった。




「殿下は、目的地のベネト領の名産品をご存知ですか?」

「もちろん知っている。ベネト紅茶の産地だろう。

婚約者のサーラが1番好きな銘柄…………

あ~!!」

「どうされました殿下!?」




副団長が心配していろいろ話し掛けてくるが、それどころではありません!




どうしよう!?

私、急に決まった今回の視察が嬉しくて、サーラとのデートの約束をすっかり忘れ、何も告げずに旅に出てしまいました!




約束の日時はとうに過ぎています。

今から戻る訳にも行きませんし。

真っ青になりながら、サーラにどう謝罪しようか考えていると王城実家王太子兄上から僕の携帯電話ポケテル君連絡メールが届きました。




[お前の婚約者のデルモ伯爵令嬢サーラ嬢が倒れた。

理由は解っているだろうな。

任務終了後速やかに帰還し謝罪する様に!]




最悪です!

私の所為でサーラが倒れてしまいました。




その後、私は任務終了するとともに、最高級のベネト紅茶とベネト領名産のベネト紅茶入りクッキー、ベネト領産の高級蜂蜜、以前からサーラが欲しがっていたベネト領産の琥珀のネックレスを急いで購入した。




馬車に軽量化の魔法をかけ、馬車を引く馬と御者にヒールをかけ続け、最速3日で王都に帰り着いた。

その所為で、私付きのメイドのマリアンヌは馬車酔いで真っ青な顔をしている。

護衛騎士のハインツは平気そうだが、私はヘロヘロです。




急いで正装に着替えた僕は、魔力枯渇になりながら、サーラへのお詫びの品を持って、王都のデルモ伯爵邸へ今回は学園に残っていたハーシー先生の魔動車で向かった。




かなりお怒りの様子の、デルモ伯爵夫妻や伯爵邸の使用人達に誤り倒して、何とかサーラに会う許可を貰った。




サーラ相当怒っているだろうなぁ……




そして私は部屋に入るなり、王家我が家に伝わるという最上級の謝罪をした。


(今、ここ……)


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※1 例のアレ

シリーズ⑦に出て来たご先祖様の残した黒歴史



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