第2話

あの方が転入して来てからというもの、学園内はまた騒がしくなりましたわ。




先日は三年の教室が騒がしいと思いましたら、あの方がいらして侯爵家のグレン様と揉めたのだとか。




『この教室にナルキス様がいらっしゃるのは、わかってるのよ!』

『そんな!どうしてもう、騎士科に居るのよ!?』

『あんた、ナルキス様の取り巻きだったわよね!

何とかしなさいよ!』





侯爵子息グレン様になんて事を!

グレン様はナルキス様と犬猿の仲なのですわよ。




以前のナルキス様は、とても公爵子息とは思えない態度でしたから、生真面目な性格のグレン様とは、合わなかったのでしょう。




そのグレン様を、ナルキス様の扱いするなんて、【聖女】の身分が無ければ、不敬罪でとっくに退学ですわね。




この後すぐに特進科専属の護衛騎士が来て、特進科練から追い出されたのだとか。

全く迷惑な方ですわね。




そうそう、わたくし最近習い事を始めましたのよ。

サンソンクズ騎士事件で知り合ったケント様の紹介で、【ユウリン館】のウェイターをしていらっしゃるハサム様から『美味しい紅茶の淹れ方』を習っていますの。




わたくしの愛するエミール様は、【ユウリン館】の紅茶とクッキーが大好きなのです。




いつもは、使用人が挿れてくれるのですが

『たまにサーラちゃんが淹れて差し上げたら、エミール様との愛がもっと深まると思いますわよ♪』

と、エリー様からご助言を受けましたの♪




わたくしは、そんな有意義な日々を過ごしておりました。




その間、あの方を3日ほどお見掛けしないと思っていましたら、今度は土木建築科の実習場へ勝手に入り込んで、井戸掘りや採掘の練習をしていた穴に落下し、ずっと深い穴の中におられたとか。




よく、ご無事でしたわね。




案の定、風紀委員会から【停学処分】を言い渡されたそうです。




詳しくは知りませんが、その時も風紀委員長のジェスト様に意味不明な事をおっしゃったとか……




あの方が学園に来られない間、学園内はでしたわ。

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