【短編】赤ずきんVSサメ~宿命の対決~

MrR

赤ずきんとサメが出会う時、物語ははじまる。

 昔々、とある場所に赤ずきんと言うサメハンターがおりました。


 赤ずきんは数多くのサメを葬ったカリスマサメハンター。


 しかしサメハンターは一度負ければサメの餌と言う格言がある過酷な世界でもあります。


 今日はお母さんのおつかいで、サメハンターのおばあちゃんの下へと向かいましたが――


「こ、これは!?」


 おばあちゃんの家が見るも無惨に崩れ去っているではありませんか。


 胸から血を流し、倒れ伏すとてもおばあちゃんとは思えないガタイの良いおばあちゃん。傍には血塗れのチェーンソーが置かれていました。


「赤ずきんよ・・・・・・私はもう終わりじゃ・・・・・・」


「そんな、おばあちゃん!!」


「だから赤ずきんよ・・・・・・お前がサメハンターの世界の、希望となるのじゃ」


「でも」


「でもも何も無いわ!! 甘ったれるな!! それでもサメハンターか!!」


「ッ!?」


「これもまたサメハンターの運命・・・・・・私もそれから逃れられなかったと言うことじゃ・・・・・・」


「おばあちゃああああああああああああああん!!」


 そしておばあちゃんは息絶えました。

 

 豪雨が降り注ぎ、強風が吹き荒れ、雷鳴が鳴る。


 現れたのはサメでした。


 二足歩行で両腕があって、とてもガタイの良い――サメと言うよりサメ怪人ですがサメなのです。


「そのサメハンターは俺が倒した――」


「お前がおばあちゃんを――」


「次はお前の番だ」


「そうね――これもサメハンターの宿命!!」


「うむ。話が分かってなによりだ」


 両者は構える。

 サメとサメハンターが出会うと言うことはそれすなわち殺し合いしか選択肢はない。

 暫くの静寂。

 

 そして――


「「おあちゃああああああああああああああああああ!!」」


 互いの拳がぶつかり合いました。

 

「ほあたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!!」


 赤頭巾の拳が、


「ぬああああああああああああああああああああああああああ!!」


 サメの拳がぶつかり合う。


 互いに奇声を挙げながら拳をぶつける。

 この競り合いに打ち勝ったのは。


「ぬぅううううううう!!」


 赤ずきんでした。

 サメの巨体が後退りします。


「その赤ずきん――お前が噂の赤ずきんか――」


「お前は私が倒す――」


 赤ずきんは指をクイクイさせながらサメを挑発します。


「舐めるでないわ!! とぁ!!」


 物凄い跳躍力!!

 天高く舞い上がり――


「サメ聖拳奥義!! シャークカノン!」

 

 両腕からサメを象った光線が放たれます。


「はぁああああああああああああああああ!!」


 対する赤ずきんは両目を見開き、両腕を扇風機のように回転させて真空の壁を作り上げます。


「ほあちゃああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 サメの光線が。

 赤ずきんの真空の壁が衝突。

 打ち勝ったのは赤ずきんでした。


「こうなるのは予測済みよ!! サメ聖拳奥義!! 双牙滅殺!!」


 両手の手の平を開き、そのまま赤ずきん目掛けて降下していきます。

 赤ずきんは――


「ほわああああああああああああ!!」

 

「ぬわあああああああ!?」


 サメの両腕の合間の隙間を縫い、真空飛び膝蹴りをサメの顔面にかまします。


「並のサメハンターが相手なら今ので決着がついていたわ。だが私は多くのサメを屠ったサメハンター。並のサメハンターではないわ」


「ぬうううう!! 一目で奥義の弱点を見抜くとは――成る程、サメハンターになれるわけだ」


 互いに間合いを取り合う。

 そして森の中に入り大木を挟んで――


「おあちゃぁ!!」


 赤ずきんの拳が!!


「とぁ!!」

 

 サメの拳が大木に突き刺さる

 大木は衝撃に耐えきれずに爆発四散し、サメが吹き飛ばされて背後の木々を薙ぎ倒す。


「右の拳は砕かれた。アナタの命はもはやこれまでよ――」


「まだだ!! まだ勝負をついておらぬわ!!」


 サメは立ち上がります。


「俺も多くのサメハンターを屠ったサメ!! 退くなどせぬわ!!」


「あなたもまたサメ・・・・・・」


「来い!! 赤ずきん!! 決着をつけてくれるわ!!」


 そしてお互い決着をつける心構えで対峙。

 

 赤ずきんは究極奥義で迎え撃つ準備をします。


「な、なんだ!? 赤ずきんから光のオーラ―が――」


「はぁああああああああああああ」


「背後に見えるのは――宇宙!?」


「おわちゃあああああああああああああああああああああ!!」


 気がつけばサメの胴体を赤ずきんが貫いていました。

 しかしサメはそんな赤ずきんの拳を両手で掴みます。


「ぬかった・・・・・・最後の最後に相手に見惚れるとは・・・・・・そうか・・・・・・あのおばあちゃんが孫のお前に未来を託したのも頷ける話だ」


「もう戦う気はないの?」


「サメの宿命に従うまで・・・・・・ここで潰えるのが運命とあるならば・・・・・・」


 拳を掴んだ両手を離して、その場に立ち尽くします。

 胴体から赤ずきんが拳を引き抜いて尚もその場に立ち続ける姿。


「あなたもまたサメだった・・・・・・」


 赤ずきんはサメに敬礼をした。



 後日。

 

 赤ずきんは廃墟となったおばあちゃんの家に火を放ち、その跡におばあちゃんの墓とサメの墓をつくりました

 

 これもまたサメハンターの宿命なのです。


「見てておばあちゃん。私のサメハンターとしての生き様を」


 そして赤ずきんはサメハンターとして戦い続けるのです。 

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