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 思わぬ形で苦戦を強いられる二人。それを見たカイルは、カエナから少し距離を取り、スキルを発動することにした。「確定」で上書きされた、絶対的な威力を持つ「ランダム」。すっと呼吸を整え、神経を集中させると、スキルの発動結果が脳内に……。


 ……浮かび上がらなかった。

「なっ……!?」

 動揺と焦燥が、口から零れ落ちる。何度試しても、結果は同じ。塵一つ、起こすことができない。

「おいおい、一体どうしたんだぁ?」

 焦る彼を嘲るように、カエナが下品に笑う。スキルを発動できずに四苦八苦している様子を、面白がっている。

 

 ――何故だ。カエナの剣技を寸でのところで弾きながら、カイルは絶望的な思考に陥った。スキルが使えなければ、彼の能力はほぼ皆無も同然だ。今までスキルに頼りすぎていた付けがこんな形で回って来るなど、誰が予想していただろうか。こんな未来が待ち受けていると知っていたなら、初めから基礎能力を上げておくべきだった。

 一方のカエナは、性格こそは良くないものの、剣術の腕はかなりの実力派。スキルの「斬撃」を使わずとも、対人間ぐらいなら容易に捻りつぶしてしまう。今、彼がスキルを使用している様子はない。これはつまり……、完全な実力差だ。

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