しょ、初級薬品ですよ? 本当です (裏)

side〜小林 蓮見〜


「ハァ、今回もダメだなー」


私は今装備の発注を頼みにきた斎藤武に、ざつよ…じゃない、薬品製作体験をさせ、外出していた


そして今ある薬品を作る為に試行錯誤してる最中だ

そのある薬品とは私の親友である車椅子の彼女の足を治すための薬だ


だが、今までそのレベルの薬品は開発されたことがなく、都市伝説レベルである

今も、薬品を製作したが全く別の効果の薬品が出来てしまった


「とりあえず、今日はこれぐらいにして帰るかー」


仕方がないので自分の部屋に帰ることにした

そしてドアを開けると私の親友である福井 倉が座っていた


「あ、お帰りなさい」


「ただいまー、あれ?斎藤武は?」


「あぁ、彼ならもう帰ったわよ」


「へー…」


となると、彼が作った初級薬品はどこだ?

見ると誰かに飲み干された出した覚えのないグラスがあった

うん?彼自分で初級薬品を飲んだのか?初級薬品て味はイマイチなんだけどなぁ


そんなことを考えていると急に倉が言った


「足が…」


「ん?どうしたの?」


急にそんなことを言ったので、ふと後ろを振り返ると

倉が驚きを隠しきれないと言った様子で立っていたーー

そう、立っていたのだ


「ねぇ蓮見、足がぁ…っ!」


そう言って私に抱きつき、そのまま泣き始めてしまった

まだ、頭が混乱していたけど、そんな親友につられて私も泣いてしまった



$ $ $ $ $



ひとしきり泣いて、落ち着いた後


「で、なんで急に立てるようになったのー?」


「うーん、分からないわ、なんか足に違和感があるなって思ってたら立てるようになったの」


「心当たりとかないの?」


「特には…でもそこのグラスに入っていたカル○スは飲んだわね


「え?私そんなの入れてないよ?そのグラスに入ってるのは斎藤武が作った初級薬品のはずだけど…」


「え?味も色も全然違ったけど…」


まさか彼が作ったのか?いや、彼とは初対面だし倉のことは知らないはずだし…


「まさか…装備製作のお礼で作っといたとか?でも、お金はもらってるんだけどなー」


「まぁとにかく私を助けてくれたことには変わりないわよ、お礼はしないとね」


確かにそうだ、私の親友を助けてくれたことには変わりない


「よーし、気合いを入れて装備を作るとするかー!」


side〜学園長〜


最近、武くんが何やら車椅子の子の足を治す薬品を作ったともっぱら噂になっている

実際に今まで車椅子だった子が二本足で自由に歩いているのを見かけた


「彼は自分の力を隠したいのか見せびらかしたいのかどっちなのかしら…」


そんなレベルの薬品を作れるなんて…、これでまた彼狙われるんじゃないかしら?




一方その頃…


「斎藤武!お前は他のものとは比べ物にならないレベルの薬品を作れるらしいな、その技術は私がいただく!」


「知らねえぇよおおおぉ!誰か助けてえぇぇ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る