第16話 神器(アーティファクト)確認のため地下通路へ


「まあ、ハルト、そんな顔するのではないぞ。もう少し大きくなればその謎も解けるかもしれん。もしかするとハルトが選ばれるかもしれんな、あっはっは!」


 ――高らかに笑う父上の姿はいつの日か忘れていたようだ。


(こんな重要な事なのになぜ今頃になるまで思い出せなかったのだろう)


 アイリーンからもらったハーブティを飲み干すと、地下通路へ向かった。


 この通路は有事の際使われることになっているので、普段は閉鎖されて施錠されているが、脱出の際カギを入手していたため、どこにカギがあるか知っていた。


 そもそも、非常時の際は扉を破壊すればいいだけだが、余裕があるときは開けれるようにカギと扉は用意してあった。


 ハルトはそのまま地下へ向かう階段を下りていく。


(………変な感覚だなぁ。さっきここを通った記憶があるというのは)


 ハルトの中では数時間前に通った感覚で進んでいた。


 基本的に一本道。


 脱出用の地下通路を勘繰られないようにダミーの部屋などを用意してあった。


 ダミーと言っても貴重な書物や置物や先祖が使ってたであろう古いの武器や防具などが置いてある。


 ――しかし、ハルトは重大なこと発見するのであった。



 そのまま地下通路を進むうちに目的の場所に到着する。


(…………あれ、ここで合ってるはずなんだけどなぁ)


 目的地の曲がり角、曲がり角の直角の隅に部屋の扉があるはずだった。


 進みすぎたかなーと思い戻ってみるが、やはりさっきの場所のはずだった。


(な、なんで扉が無いんだ! ………やっぱり夢だったのか?)


 ――心で葛藤する中、一つの事を思いついた。

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