第8話 10万の軍隊

 セバスは南東の山の方向に指をさして言う。


「………あれは、軍隊では?」

「………は?」


 ハルトが軍隊を確認してするのと同時に人が走って来る。




「ハルトさまぁあああああ! 大変です!!!」



 警備隊隊長のクラウドが畑にスライディング土下座をするかの如く転がり込んでくる。

 そこ! 今耕したばかりの畑なんだが!


「敵が攻めてきました!! 既に回線の狼煙が上がり、その数、――報告によれば、約10万ほどです!!」

「はぁ!! 10万だとぉ!!」



 ケチな小競り合いをするつもりはなく、一気に攻め落とすつもりだ。


 この領地も一応どうにかかき集めれば5000ほどの兵力があるとはいえ、防衛設備なんてない。

 しかも、20倍以上の戦力をどうしろと言うんだ。


 ここ数百年外敵要因が無かったことと、王都から近いこともあり、予備兵はいなかった。


 むしろ、何かがあれば王都から数万の兵がすぐ出兵できるはずだった為、多くの兵を配備していなかった。



「奇襲戦法かよ!」

「………残念ながら」


 クラウドが肩を落としながら言う。



 通常ならある程度話し合いがあるはずだ。


 何日に開戦するかとか、最低限そういったのがあるべきだ。


 お互い戦後処理とかが大変だから、普通は程度を決めて行うはずだ。



 しかも使者が来てから30分どころか10分も立ってないんじゃないか?



 民間人を逃がす時間もなしとか、あり得ないだろう!


「防衛線は無理です、早くお逃げください!」


―――クラウドの進言を取り入れて逃げることにした。

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