第5話

  朝、鳥の鳴き声と朝日で少しだけ目を覚ますローズ。ふと、すぐ側から気配を感じ、誰だろう?と一瞬思うも、もう自分の隣で眠るのは1人しかいないかと思い、目を閉じて誰かも確認しないままローズはその人に抱きつき


「うふふ♡クレアぁ〜♡おはよ♡」


愛おしい人の名を呼んで、ローズはそこで目を開けて愛おしい人からの応答を待つと……


「やぁ、マイスイートハニーローズ!朝の熱い抱擁は嬉しいが、違う人の名前を呼ぶのはいただけないねぇ〜!」


「〜〜〜ーーーーーッ!!!!?」



つい、以前からの習慣から朝早くに目が覚め、ローズの眠りを邪魔しない為に外に出て朝の祈りを捧げていたら、ローズの妙な声にならない絶叫と轟音が聞こえたクレアは、聖女とは思えない猛スピードで自分達の寝室に辿り着きすぐに扉を開けた。


「ローズ!?どうしました!?大丈夫ですか!?」


「うわあぁぁぁ〜ーーーーーんッ!!?クレアぁぁぁ〜ーーーーー!!!?」


クレアが扉を開けると、ローズが涙を流しながらクレアに抱きついた。


「ごめんなさい!?ごめんなさい!?ごめんなさい!?クレアぁ〜!?目覚めたばっかで寝ぼけてたとはいえ、あんなゴミとクレアを間違えて抱きついてぇ〜!!?」


ひたすら謝罪の言葉を繰り返しながら涙ながらにそう語るローズと、若干服が焦げ頭から壁に激突してめり込んでるローラらしきゴミ(ローズ&クレア談)を視認したクレアは、すぐに状況を理解してローズの頭を優しく撫でる。


「いいんですよ。ローズは何も悪くないですよ。悪いのはそこのゴミ……コホン!勝手に不法侵入した人が悪いんですからねぇ〜」


クレアはまるで聖母のような微笑みを浮かべながらそう言って、ローズの頭をゆっくりあやすように右手で撫でる。その間、クレアの左手はローズの全身を撫でるように浄化魔法という名の消毒をするのを忘れない。


「ふむ。やれやれ朝から酷い言われようだね」


いつの間に復活したのか、ローラが2人の前にやって来た。服の焦げも何故か消えている。クレアのおかげでようやく立ち直ってきたローズはキッとローラを睨む。


「ゴミはゴミでしょ!!ここは私とクレアの愛の巣なんだから!!ゴミはゴミ箱に入ってなさいッ!!!」


「ふふふ!ツンツンなローズも愛らしいが、私が作った料理を見てもまだそんな態度がとれるかな?」


『料理ぃ〜!?』


ローラから料理という単語が出てきて、ローズとクレアは思わず同じ反応をしてしまう。


「そうだよ!マイスイートハニーのローズと!ついでにクレアの分も作ってあげたよ!さぁ!食べてくれたまえ!」


いつの間にか、テーブルには沢山の料理が置かれていた。見た目はどれも美味しそうであるが、ローズとクレアはその料理を確認すると、無表情で料理を捨てはじめる。


「ちょっ!?人の手料理を食べもせずになんて事するんだい!?」


「……食べるまでもないわ。どうせあんたの手料理……全部甘いんでしょうッ!!」


ローズ達は勇者パーティーとして旅立っていた時に、何度かローラの手料理を食べた事がある。その作った手料理全てが甘いのである。焼き魚もシチューもステーキも……見た目だけは復活に美味しそうなだけに余計に質が悪い。


「何故だ!?甘さは至高!甘さは正義だろう!?」


「だからって何でもかんでも甘ければいいってもんじゃないわよッ!?」


「うぐぐぐっ……!?こうなったら……!クレア!私と料理勝負だッ!!」


「はい?」


いきなり名指しされてキョトンとなるクレア。が、ローラはビシッとクレアを指差し


「どっちがローズを喜ばせる料理を作れるか!勝負しようじゃないか!!」


いきなりクレアに料理勝負を申し込んできたローラに溜息しか出ないローズ。が、何を思ったのかクレアは微笑みを浮かべ


「分かりました。その勝負お受けします」


ローラの勝負の申し出を受け入れたクレアに驚愕の表情を浮かべるローズ。が、クレアの言葉は更に続く。


「ただし、私が勝ったらここに2度と立ち寄らないでくださいね」


「いいだろう!私が勝つに決まってがね!」


どこからそんな自信が出てくるのか、そう宣言するローラに呆れるローズ。ローラとクレアは睨み合い、両者の間に激しい火花が散っていた。


  こうして、ローズ的にもう勝負が決まってる勝負が幕を開けたのだった……

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世界を救った女魔導士様と聖女様は2人っきりでイチャイチャしたい……だけなのに何でこんなに邪魔が入るのよおぉ〜!!? 風間 シンヤ @kazamasinya

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