6月26日 モルス

 資格勉強を考慮してたら、真っ先に削減対象になってしまった。

 ただ、日記を書くのは悪いことでは無いので、これからも書いていきたい。


 先週は、そこまで代わり映えのしない日だった。

 スマホの速度制限で、好きなゲームのダウンロードが出来なかったこと。

 めぐりズムが案外寝る前のご褒美になったこと。

 先日隣人と初めて出くわしたが、システムエンジニアのような風体で、レッドブルを大量に抱えていたこと。


 とまあ、そこまで大きな変化もない。ひと段落仕事を終えた後は、実家に帰省した。

 実家は何一つ変わっていない。ご飯は美味しいが、両親まとめてアルコール依存症。いつもの面倒臭いことが起こる前に、自室に逃げて資格の勉強をした。


 とは言え、表面上は親の仲は悪くない。親は自分達は仲がいいと思っているだろうし、現にその方が都合がいいと思ったからだ。酒で酔っ払って肩を組むような、軽い上澄みだけの関係でありたい。


 なので余り混んだ話はしたくない。ただ家を持っているだけあって、コンロが複数使える。大容量の冷蔵庫がある。そこで適当に作って自宅に帰れるだけ大きな価値はあるのだ。


 ということで、親が寝静まった深夜にモルスを作った。モルス、とはロシアの代表的な飲み物で栄養ドリンクらしい。甘さ控えめのベリージュース。

 近くのスーパーにあった安い冷凍ベリーを適当に潰して、ジュース状と果肉を分けるようにして漉す。果肉を程よく砂糖と煮詰めてから、果肉を取り出してジュース状と混ぜて瓶に詰める。

 クランベリーは酸味が強いから、砂糖や水はお好みで入れる。自分用に作った為、参考にしたレシピよりも多く入れて完成した。


 試しに飲んで見たが、ジャムを経験しただけあって、えぐみのような無駄な工程のない味。瓶を舐め回すように見ても、ベリーの赤が可愛らしいので、カラメル化もない。実家でしか置けないが、いい出来だ。

 ふとカクテルのベリースプリッツァーを思い出して、冷蔵庫にあった白ワインと炭酸水を割って飲む。言わずもがな最高に美味しかった。


 翌朝。「これ作ったの?」と母親から聞かれたが、二日酔いらしい為飲ませた。

 美味しいとは言ってくれた為、これの定住先は決まったらしい。モルスは、母親によって紅茶と割って飲まれていた。


 夏になりかけなこの季節には、酸味と甘みの効いたジュースとよく効く。試験日ももうすぐなのだから、気合を入れて進めたい。

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