553
バブみ道日丿宮組
お題:ひねくれた世界 制限時間:15分
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正義も悪もたいして変わらない。
正義の名のもとに殺人を犯すのと、誰でも構わないと殺戮する悪。これに違いはない。正しいことが必ずしも正しいとは限らない。そんな世界で僕は一人で生きてる。
もっとも僕がやることに正義と悪があるのかはわからない。ただの残飯探し、家屋調査。この行動はなんなのだろう。
周りには誰もいない。親も友達も数年前にいなくなった。人と呼ばれる動物も今じゃこのあたりで見ない。みんな希望の塔と呼ばれる施設へ引っ越した。
親は最後まで説得してきたが、僕には無理だった。
「……」
地上から宇宙まで伸びる塔。
そこでは幸せな生活ができるという。でも、外に一生出ることはできない。中へと入ったものは管理しやすいように身体をいじられる。そのため、外に出れば身体が耐えきれない。
地上というある種の汚染地帯はそれだけ有毒だ。
けれど、いろんな刺激がある。
それが地球。
その場所を手放して、壁しかない世界でどう楽しめというのか。管理された人生になんの意味があるのか。
疑問しかわかない。
ただ……肥大化してく人の数は抑えることが可能になったらしい。それだけは救いなのかもしれない。塔から漏れ出すこともなく、他の動物を害することもなく自分たちの塔で暮らし続ける。
ならば、何も言うことはない。
この世界は人だけの世界ではない。それを壊して住みづらくしたのだから、狭い世界に閉じ込められるのは至極当然。僕も本当だったら行くべきだったかもしれない。
まぁもう遅いこと。
塔の入り口が開くことはない。誰が生きて死んだのかを確認することもできない。僕以外の人がどれだけ外の世界にいるのかもわからない。
わからないからこそ、この世界は面白い。
自然という暴力に振り回されるまま、あるかもしれない一つの道を進む。そんな自分だけの世界に僕はいたかったのかもしれない。
ーーあぁ、人が恋しいな。
553 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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