第28話 後始末

カーン兄弟とライナ達がギルドマスター室から出て行った後、バロムとアイリーンの元に一つの影が出て来た。


「おかえり、シリウス」


『ああ。一応防音結界を張るぞ』

シリウスは防音結界を張った後、ソファーに座ったのであった。


「さすがと言うべきなのかな?」


『そうでもないさ。あのゲドンはミッドガル王国を壊滅させた魔物軍団のボスだ』


「やっぱりね.....それでカレディアを攻めた理由は分かったのかな?」


『彼奴が言うには『破滅龍』がこのカレディア征服の指揮をしていると言っていた』


「「破滅龍ですって!」」


『ああ。確か、エデンには幹部クラスの4人がいたのだったな?』


「そうだよ。その4人は銀龍。黒龍。炎龍。氷龍の「四龍」がエデンでの最高幹部だよ?」


『もしもだ、その四龍の上に幹部がいたらどう思う?』


「なんだって! あの最悪の四龍の他に上がいるの!」


『ああ。いる。そいつらは『7つの大罪』と言われる異世界人だ』


「そんなのがいるのか......」


『しかも、『7つの大罪』は俺には因縁があるみたいなのだ』


「........」


『その四龍の一人バラクーダは銀龍だったよな?』


「そうだとも。銀龍バラクーダは別名「破滅龍」と言われていた災害級のドラゴンだ。約500年前に4大帝と言われる英雄との戦いで死んだと言い伝えになっていたのだよ?」


『そうだったか.....』


「うん。4大帝と四龍が戦って、この世界の住民の約9割が死んだと伝わっている。戦いに負けた四龍は異次元に飛ばされたと言われていて、この世界には戻ってこないと言われていたのだよ。それが....今、此処に出て来るとは思っていなかった......」


『その飛ばされた四龍をこの世界に送り込んだのが今の「7つの大罪」だったらどう思う?』


シリウスはバロム達に核心を突いた。


「だとしたら、エデンはこの世界をどうしようとしているのか?」


「しかも、この世界で災害級のあいつらが公に攻撃して来ない理由があるだと思うわ」


『俺もそう思う。あいつらは恐らくを探している』


「それってどういう意味?」


『あんた達は俺の本名を知っているだろう?』


「「知らないよ?」」


『ライナ=フォスターの本名は知っているよな?』


「ええ。妹から聞いている。元ミッドガル王国の都市の一つハミルトンの領主の娘だった、レイナ=ハミルトンって事を」


『俺もミッドガル王国の出身なんだよ。しかも、もう死んでいるって公表しているがな?』


「「え?」」

シリウスの言葉を聞いたバロム夫婦は驚きを隠せなかった。


『本当だ。俺の本名は元ミッドガル王国、ベレスタの領主の息子であったセシル=ガイアスだ。一応、レイナ=ハミルトンの元婚約者だった』


「そうなんだ」


『彼奴らの目的は、人柱を探してある人物の復活だ.....』


「ある人物の復活だと? まさか.....」


『そのまさかだ。エデンの総帥だ』


「そんな!」


『だから、俺はバラクーダを倒さなければいけない。だから、教えてくれないか? この国で一番魔力を持っている強者は?』


「それは........このカレディア国王の『雷帝』アレス=ベクトールだ」


『「雷帝」と言えばあの4大帝王の一人か?』


「その通りだよ。あの4大帝王の生き残りハイエルフである「雷帝」だよ。この国はアレス=ベクトールが作った国。」


『もっと、教えて欲しい。バロム』


「いいよ。この国カレディアは元々ハイエルフであるアレスが作った国で、国が出来てもう約500年経っている。エルフ族はあの四龍との戦いで約9割が死んで生き残ったアレスがこの土地で村を作ったのが初めなんだ。そして、その戦いで死んだ孤児達をアレスは引き取って農業を中心に生計を立てていた。その事を聞いた他国で生き残った女性と老人、そして農民がこのカレディアに移り住んで今に至っている」


「そうよ。生き残ったエルフと人間達の協力で此処は農業が盛んになっているのよ。私達は、その人間とエルフの間に生まれたハーフエルフで、国王は能力があって、しかも、善行を行っている人を多く役人を登用しているの。此処での貴族はアレス国王が認めた人が貴族となっているわ。貴族の子孫には悪い事をする人が居る時は、アレスは直ぐにその人達を処分していったのよ。私達、ロクサーヌ家もその貴族の一つなのよねえ.....」


『その貴族のあんた達は何で冒険者ギルドのマスターになっているんだ?』


「それはね.....この国には防衛機関が冒険者しか無い為なんだ。アレス国王は他国との抗争に巻き込むのが嫌なので、中立を取っているの。その為、軍と言う兵隊は此処には王都にいる近衛騎士団しかいないからね? もしもこの国で何かあればアレス国王自ら出て来るから、今は大丈夫だけど.....あの四龍が相手だと....一人では勝てないと思うわ」


『バラクーダの狙いはアレス国王を人柱にする為、それと此処をエデンの食料基地にする為だと思う。バロム、教えてくれ。バラクーダが隠れて良そうな場所はあるのか?』


シリウスはバロムにバラクーダの居場所を聞くと、顔を噛みしめながら答えた。


「私の想像だと、この国の北にあるリンドリウム山脈が怪しいと考える。あそこは魔物の発生が一番多いから」


『そうなると、調査が必要になるな?』


「うん。そこで表向きはCランク冒険者で裏では教国公認のSランク冒険者のシリウス君に頼みたい。良いかな?」


『ああ。其処は問題ない。』


「開始はどうする?」


『早ければ約1週間後だな?』


「分かったわ。それで手配をするわ」


『それじゃ。俺は此処で』


「ああ。」

シリウスはギルドマスター室を出て行くのであった。


〇〇〇〇〇

その頃、ライナ達はギルドから近い酒場で飲んでいた。


「ねえ。あの変な恰好した奴ってマジすごいわ」


「まあ。あんたより体は良いかもね。ソフィ」


「なんだって! あの仮面の中身はブサイクならどうするのだ?」


「ブサイクなら嫌だけど.....お金が沢山あるのなら....愛人でも良いわよ?」


「リンダは現金だねえ....」


「メイはどう思っているの?」


「私はシリウス君見たいな純真な青年が良いわ」


「メイって面食いなのねえ....」


「そう言うライナだってどうなの?」


「私? 私は強くても自分の自慢をする人が嫌い。だけど、誰かの為に守ってくれる人は良いかもって.....。あのシリウスって人、昔、私と出会っている人に似ている気がするわ....」


「まあ....」

ライナ達が色々と世間話をしていると後ろから声をかけられた


『すまんが、貴方達は『天使の羽』の皆さんで良いのですか?』


「なんでしょうか?」

メイが答えると4人組の男女が立っていて、リーダーらしき人が話を進める。


『僕達は、「不知火」のリーダーでアレクと言います。それと隣にいるのは僕の仲間でジン。マリア。ジャネットと言います』


「「不知火」って言えばカレディア一番のパーティじゃないですか? それで私達に何か用がありますの?」


『実は国王から、先程の魔物襲撃の犯人が破滅龍バラクーダであると判り、そのバラクーダがリンドリウム山脈にいると情報が入ったのです。其処で国王がバラクーダ討伐を我々が依頼を受けたのです。我々だけでは戦力が足らない為、いくつかのパーティに協力をお願いしようとして今『天使の羽』の皆さんにもお願いしようと思いまして.....』


「あのう....それでアレクさん。私達以外のパーティはいるのですか?」


『今決まっているのが僕の『不知火』とSランクの『流星の風』、Aランクの『純潔の乙女』と貴方達の『天使の羽』を入れて4組ですね?』


「そうなんですか....それで私達の役割は?」


『僕達の『不知火』と『流星の風』が前衛で『純潔の乙女』と『天使の羽』は後衛でお願いしようと思います。どうですか? 討伐完了したら各一人当たり白金貨3枚で国王から頂けます』


「白金貨3枚って.....私達は後方支援中心でいいのですか?」


『はい。僕達の『不知火』と『流星の風』は攻撃特化のパーティ。『純潔の乙女』は魔導士3人と回復術士1人のパーティなので後方からの攻撃中心。『天使の羽』の皆さんは『純潔の乙女』を守る役と考えています。僕達『不知火』と『流星の風』が全滅した時は、すぐさま離脱して下さい。内容を国王に報告していただけば良いですよ?』


アレクの提案にメイ達は話合いを行って結果、


「それでは、お願いします」

答えるのであった。


『出発は明後日の朝で、途中一泊してリンドリウム山脈に到着する予定です』


「分かりました」

こうして、ライナ達もバラクーダ討伐に参加する事になる。

しかし...これがライナ達に取って絶望の日になるとは思わなかった.....。











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ワイルド・ウルフ~真・魔銃士物語~ 松狼 @mute175118

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