第11話 シルウス(セシル)15歳(中編)

シリウスはハミルトンにある冒険者ギルドの前に立っていたのであった。


「中に入って正式な冒険者になるぞ!」

シリウスはギルドの中に入って、登録専門の窓口の前に向うと、受付嬢が声をかけて来た。


「いらっしゃい。冒険者の登録ですか?」


「今日は、見習い期間が終わったので報告に来ました」


「それなら、先日に渡しましたネックレスを私に渡して下さい」


「はい。これですね?」


「はい。少しお待ちください」

シリウスから見習い冒険者のネックレスを貰って奥の部屋に入って行ったのだが..。

直ぐに出て来てシリウスに話すのであった。


「シリウス様。今からギルドマスターとの会談をしていただきますので、私についてきてください。良いですか?」


「分かりました」

受付嬢の案内でギルドマスターがいる執務室に到着すると


「ギルドマスター。シリウス様が来ました」


『入ってもらってくれ』


「シリウス様。中に入って下さい」

シリウスは執務室に入ると、其処には20代後半の女性とシリウスが知っている人物が.....それはこのハミルトンの領主ハミルトン伯爵であった。


(隣の女性がギルドマスターって事だよな? 何でハミルトン伯爵がいるのだ?)


『シリウス君。さあ、中に入ってそのソファーに座ってくれない?』


「はい」

シリウスは女性に言われた通りにソファーに座った。


『先ずは紹介するわ。私はここの冒険者ギルドマスターのシスティーヌ=ロクサーヌよ。そして隣の方はこの街の領主ダグラス=ハミルトン伯爵よ』


「初めまして、シリウスと言います。ロクサーヌさん。ハミルトン伯爵様」


『先ずは君に聞きたい事があってね?』


「はい。どう言う内容ですか?」


『君の見習い冒険者ネックレスを調べたのだが、此処に記載している内容で間違いはないのかな?』


「はい。間違いありません」

シリウスは冒険者ネックレスの内容を肯定したのを聞いて二人は驚きを隠せなかった。


『それが本当なら.....ハミルトン侯爵。これは....一大事だぞ?』


『ああ......』


「ギルドマスター。それってどう言う意味なのですか?」


『そうだね......結果を先に言わせてもらうわ。シリウス君はこのネックレスの内容に間違いないのなら冒険者ランクAに相当するのよねえ.....』


シリウスは驚いた。

自分の戦歴を見たらおそらくCランクだと思っていたのだが......更に2段階のAランクである事に.....。

そして、ハミルトン侯爵はシリウスに話をするのであった。


『シリウス君。君の下の名前は?』


「はい。シリウス=ロックバーグです」


『なんだと!』

ハミルトン侯爵は驚いた顔になった。


『それで父親の名前は?』


「アイン=ロックバーグだと死んだ母から聞きました」

シリウスはそう答えるとハミルトン侯爵は


『君は、マリアンヌ=ガイアスの息子のセシル=ガイアスだね?』


「違いますよ?」


『嘘は辞めて欲しい。私はそのアイン=ロックバーグって言う男は知っている。その男は私の親友であり、9年前に死んだマリアンヌ=ガイアスの元恋人である。そして、マリアンヌは我が死んだメルダの親友。どういう事かわかるよな?』


ハミルトン侯爵はシリウスの両親の事を話した。

ハミルトン侯爵夫妻と母マリアンヌと恋人のアインは元冒険者パーティを組んでいて、ハミルトン侯爵夫婦の結婚を機にパーティは解散して、その後アインは病死で他界になって、母マリアンヌはお腹の中の子と一緒にガイアス子爵と結婚してシリウスを産んだ事をシリウスに説明すると、


「そうでしたか.....お互いに親友同士だったとは思ってもいなかったです。ハミルトン侯爵。私はセシル=ガイアス。既にあの父上が既に死んだと公表している者です」


『やはり、生きていたのか? セシル』


「今はシリウスと名乗っていますのでそちらにして欲しいです」


『分かった。それじゃあシリウス。9年ぶりかな?』


「そうなりますね」


『この9年間何をして来たのだ? 教えてくれないか?』


「分かりました。お話します」

シリウスは9年間、魔の森で生活してきたのを話す、しかし、死んだマリアンヌが幽霊となってシリウスに勉強を教えていた事は、迷子になった老人から教えてもらったと言う内容に改変して話した。

それを聞いたハミルトン侯爵は


『あのバカめ.....自分の息子の為にシリウスを.....許さぬ!』


「ハミルトン侯爵。その事は良いのです。そのお陰で俺は冒険者になって各地を廻りたかったのですから」


『それは.....まあ良い。それでこの国の国王が先月亡くなったのは知っているか?』


「いいえ。魔の森で籠っていたのでわかりませんでした」


『実は、アーノルド殿下が亡くって次に即位したのが、メルビン王子なんだ。メルビン王子は贅沢主義とわがまま三昧、しかも政治には興味がない王子で......しかも....』


「しかも?」


『しかも.....あのガイアス子爵が何故か功績を上げた理由で侯爵に爵位されて、この国の宰相になってしまったのだよ』


「確かハミルトン侯爵様がこの国の宰相だったはずですが?」


『メルビン王子に解雇されたのだ。そして、ガイアスの娘のアンリエッタがメルビン国王の婚約者になったのだ』


「それでハミルトン侯爵はどうされるのですか?」


『その事をこの街のギルドマスターであるシスティーヌと相談していたのだよ。その話の最中に君の冒険者登録の結果が来たんだ。びっくりしたぞ?』


「そうだったのですね......。」

シリウスはこの国ミッドガル王国の今の現状を知ることになった。


(そうなるとこの1年か2年の間、この国は滅亡する.....出来れば国王とあの父上親子の事はどうでもいいのだが、領民や他ハミルトン侯爵、それとレイナさんも......)

シリウスは色々悩んだあげくハミルトン侯爵に話をした。


「ハミルトン侯爵様。ロクサーヌさん。俺の話を聞いて欲しい」


『なんだね? その話とは?』


「俺はで冒険者となって各地を廻って行きたいのです。元々、この国に関してはどうでも良いのですが....」


シリウスがそう言うとハミルトン侯爵は黙って聞いていた。

すると、ハミルトン侯爵はギルドマスターのロクサーヌに指示をするのである。


『ギルドマスター、これは私のお願いだ。シリウスを冒険者としてこの国を出て貰って欲しい。』


『侯爵様。了解しました。シリウス君、君にこのネックレスを渡します』

ロクサーヌからギルドネックレスを貰ったシリウスは、


「これって....どう言う事ですか?」


『このギルドネックレスは特別製で、普段はCランクの冒険者として活動できるのですが、シリウス君、そのネックレスに魔力を入れてくれないか?』


シリウスはロクサーヌの指示通りに魔力を入れると石が金色になった。


「これは?」


『これが本来の君のランクだよ。君はSランク冒険者だ。表向きはCランクで本当はSランクに変化出来る『隠密最高冒険者』として認知されたのだ』


シリウスは黙ってロクサーヌの話を聞いた。

その内容は、シリウスが冒険者ギルド本部認定のSランク冒険者でその姿をバレないようにCランクに偽装して今後の活動が出来る事になったのだ。


『そして、私からのお願いがある。私の後ろにある鏡の前に立ってのステータスを表示して欲しい。』


「分かりました。」

シリウスはロクサーヌの後ろにある鏡の前に立って自分のステータスを表示したのである。




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