第3話 転生

破滅龍バラクーダとの戦いで御剣龍馬の身体は灰となって消えてしまった。

だが、魂だけは残っていて......龍馬の魂はある場所にいた。

ある場所とは、何もなくただ大きな湖があり、その湖の岸には一つの白いテーブルと二つの白い椅子があった。

二つの白い椅子の一つに女性らしき人物が座っていた。

女性は龍馬の魂に声をかけた。


『御剣龍馬さん。起きて下さい』

龍馬は眼を開けて、その女性の言葉に反応した。


「此処は? 俺は死んでいたと思っていたのだが?」


『御剣龍馬さん。此処は神の領域ですよ? 貴方は死んで魂だけ此処に来たのです。それより、此処に座っていただけませんか?』

女性は龍馬に白い椅子に座る様に言ったので、龍馬は女性の言う通りに白い椅子に座って女性に質問した。


「それで死んだ俺に何か用でもあるのか?」


『はい。貴方に助けて欲しい「世界」があるのです』


「その『世界』を助ける前に質問したいのだが?」


『どうぞ』


「貴方は「神」だと言ったが、俺のいた世界の「神」ではないのだな?」

龍馬がいた世界『地球』の神ではないと思ってその女性の「神」に質問をした。


『はい。私は貴方がいた『地球』の神ではありません。私の名前は『ルミナス』と言います。助けて欲しいのは私が統治している世界「レアバース」を助けて欲しいのです』


「俺にその世界『レアバース』を救えって言うのだな?」


『はい』


「その世界には「勇者」って言う人物がいるのか?」

龍馬は昔、地球で読まれていた「異世界での勇者の物語」を思い出してルミナスに尋ねるのであった。


『はい。勇者はいますが......』


「なら、その勇者に「レアバース」を救ったら良いのでは?」


『.......』

ルミナスは少しの間沈黙して、そして、重々しく話を始まるのであった。


『実は、その『勇者』は別の神が私の為に召喚した勇者なのです。先ずは『レアバース』の事について話ましょう。私が作った『レアバース』は魔法と剣が使える世界なのですが、ある邪神が私の世界に目を付けられてしまって.....私はあるゲームに強制参加されられてしまったのです。私には強力な『勇者』の召喚出来ないので私を助けようとした別の異世界の神が私の世界に勇者を召喚したのです。但し、その異世界の神の条件が.....』


「貴方の世界を渡せって事か?」


『はい.....』


「その異世界の神と邪神が同一人物だった訳だな?」


『貴方の言う通りです』


「その異世界の神って名前は?」


『それが.....分かりません....。ただ、その神の組織の名前が『』と言う組織なのです。其処までしか私にはわかりません』

ルミナスの話を聞いた龍馬は、『エデン』の名前を聞いて


「俺が破滅龍バラクーダが在籍していた組織も「エデン」だったはず」


『はい。貴方の言う通りです.....だから、そのバラクーダを倒した貴方が転生して私の世界を救っていただけませんか?』


「ルミナスさん。質問を幾つかするのだが良いか?」


『どうぞ言って下さい』


「エデンについて知っている事を教えてくれないか?」


『私が知っているのは『エデン』と言う組織は約20名のボス級のメンバーがいます。その中でも上位七名は別名『7つの大罪』と言われています。既に『エデン』は『魔界門』を私の世界の何処かに設置して、既に潜っていると思っています。貴方達の世界『地球』で言うと『異界門』がそうなります』


「次に「七つの大罪」って言うボス級のメンバーの事は知っているのか?」


『そこまではわかりません....だけど、その7名は....貴方が居た地球の人間であると思います。多分、貴方が一番知っているのでは?』


「.....あの人達がのか?」


『はい。その7名の人間はあの異世界の神に作り替えて魔神になりました。そして、その魔神達は、以前に異世界の神が召喚した勇者を瞬殺しました。まるで実験材料みたに....簡単と......』


「最後に質問。もしも、俺は生まれ変わったとしたら、のんびりと一生を終えたい。殺しもしない世界でな。だから断るっと言ったらどうする?」


『それは.......』


「だから、俺の生活を邪魔するのであれば排除して良いのか?」


『それって....来てくれるのですか?』


「どうせ、転生しないと出来ないのだろう? だから、俺からの条件を言う。俺は新しい生活の邪魔をしない事」


『分かりました。それで良いです。それで私の力では、新しいスキル5つと貴方の新しい身体を用意します。欲しいスキルを5つ言って下さい。新しい身体は能力が私の世界の人類より少しだけ強力出来ますが?』


ルミナスの提案を聞いて、龍馬は考えて答えた。


「先ず、スキルは5つ貰う。だが新しい身体は、俺の身体の能力だけで良い。それは出来るのか?」


『はい。御剣龍馬の能力を引き継ぐのは簡単です。それで良いのですね?』


「身体の方はそれでいい。5つの欲しいスキルは決まっているのでそれでお願い出来るか?」


『はい』


「欲しいスキルは「鑑定」・「錬金術」・「鍛冶」・「道具箱マジックアイテム」、最後は「転移・転送」それで充分だ。後、今の俺の知識も引き継いて欲しい」


『スキルはその5つを渡します。だけど、前世の御剣龍馬の意識をそのままにするのですか?』


「ああ。そうじゃないと七つの大罪あいつらを倒せないからな?」


『わかりました。そうします。転生はある国の貴族の息子です。だけど、その.....』


「だけど?」


『その....転生しても苦難がありますよ?』


「それは問題ない。だから転生をお願いする」


『わかりました。それではお願いします。もしも、私に会いたいのであれば『教会』に来て下さい。これだけはお願いします』


「分かった」


『では.....』

ルミナスは龍馬の頭に手を触れると龍馬の魂は消えていったのであった。


『御剣龍馬さん.....どうかレアバースをお願いします』

そう言ってルミナスはその場から消えているのであった.....。


龍馬は目を覚ますと20代半ばの女性と30代の男性は立って龍馬をずっと見ていた。


『セシル。起きたのね?』

女性は転生した龍馬に話をしたのである。


(俺の名前はセシルか.....)


そして、隣の男性はセシルの顔を見ると強張った顔をしていた。


(なんだ? この男が俺の父と言う訳だな? だが、俺の顔を見るなり怖い顔になっている? 俺が生まれたのが嫌だと思うのか?)


そう思った龍馬、今はセシルはそう思って寝るのであった。

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