第2話 ワイルド・ウルフと呼ばれる男

西暦2210年5月10日、破壊されたシドニーで一人生き残った隊員がいた。

その名は、日本・韓国軍の精鋭隊長であった御剣拓真の息子である御剣龍馬。

御剣龍馬曰く、旧姓神崎龍馬。この年で28歳を迎える。

西暦2182年12月に大阪で生まれで、生物学者である神崎純一郎と妻の美幸の間に生まれた。

龍馬が12歳の時、神崎夫婦と飛行機で中東に行く途中に謎の物体と激突して、神崎一家が乗った飛行機が爆破された。

飛行機に乗った乗客の内、龍馬のみ生き残った。

龍馬を助けた人は、中東でテロをしていたグループであった為、龍馬はテロに鍛えられて少年兵として15歳まで中東に居たのであった。

中東では政府軍の兵士を殺した、その数約5000人。

政府軍からは『ワイルド・ウルフ』と呼ばれるようになっていた。

龍馬が15歳の時、テロの戦いが嫌になり、単独アメリカに渡って傭兵となって各地を廻ったのであった。

18歳の時、一緒に傭兵として組んでいた御剣拓真と養子として日本に戻り、防衛大学に入学して23歳で卒業した後、自衛隊に入隊する。

入隊したその日に『異界門』から『悪魔』達の襲撃が来て、龍馬は養父の拓真の部隊に配属して『悪魔』達と戦っていたのであった。


『5.10事件』の時、龍馬一人だけ遅れてシドニーに到着した。

送れた理由は自身が開発した新型の『魔法銃』の完成に送れた為であった。

既にシドニーでは精鋭大部隊が龍馬以外全員死亡。

龍馬はたった一人で1万の悪魔たちと戦った。

そして....2時間で約1万の悪魔を倒したのである。

それは、『異界門』に帰還したバラクーダは全く知らなかった。


その後、5年後に来ると思われる『悪魔』達に対抗に龍馬は今の魔法銃を強化する為に『魔法銃』の研究して2215年4月、龍馬33歳の時にそれが完成したのであった。


「やっと完成した。5年掛かったがな....」


龍馬は二丁の魔法銃を見て思った。

その魔法銃はゲームで出てくるガンブレードに近い武器で、剣の材料にはこの世界で一番強度がある金属と形状記憶合金で作られ、銃の中に組み込まれている魔石に魔力を入れるとガンモードとソードモードに切り替わる物であった。

魔弾は以前の精鋭部隊で使用していた魔法銃より50倍の威力があり、悪魔達を相手にしたら一発で倒せる威力がある。

龍馬は自身の魔力が精鋭部隊の隊員より20倍ほどの魔力を持っていたのであった。


「後は、「異界門」を破壊する魔弾も出来たが、その魔弾は4発しかない。あいつらが『異界門』を開いた時に直ぐに中に入って中から破壊しないといけない。」


龍馬は異界門を破壊するには中に入って内側から破壊するしかないと考えていた。

龍馬には恋人と呼ばれる人も家族もいない。

だから、龍馬が死んでも問題ないと思っていたのである。


「少年兵として人を約5000人。自衛隊の精鋭部隊として約10万の悪魔を殺した.....俺はこの最後の戦いで殺しは終わりにしたいものだ....」


龍馬は、最終防衛戦であるシドニー基地に向かった.....あいつ等と決着する為に。

そして....ついに決行の日を迎えるのであった。


西暦2215年8月8日、

前回と同じ場所に『異界門』が現れた。

龍馬は既に『異界門』の前に一人待っていた。

そして....『異界門』の扉が開いた時に龍馬は『異界門』の中に入り、すぐさま『異界門』の扉に『魔弾』を4発全て撃ち込んだ!


バアアアアアアアン!


『異界門』の扉が壊れて行く.....5分後には『異界門』が無くなっていた。

消えた『異界門』を確認した龍馬の後ろには『悪魔』達数万の軍勢が龍馬に向って攻撃を開始する。

龍馬は魔法銃で対抗して、剣と『魔弾』で『悪魔』達を次々と倒して行くのであった。

そして約1時間後、龍馬はボロボロになりながら『悪魔』の軍勢を9割程倒した時、

後ろに一つの大きな影が見えて来た。


「やっとお出ましか。待っていたぞ! バラクーダ!」


大きな影は「破滅龍」のバラクーダである。

バラクーダは龍馬の姿を見て驚きを隠せなかった。


『お前が我の軍勢を一人で倒したのか?』


「見ての通りだ。後はお前だけだ」


『我の主の計画を邪魔すると言うのか?』


「計画だと?」


『此処でお前を殺すから教えてやるわ。我は『エデン』のナンバー10、破滅龍バラクーダだ。今あった『異世界門』でお前達の『地球』を我が『エデン』の食料倉庫にしようと思っていたのだ。しかし、その計画をお前は壊した。もう『地球』には侵略出来ん。お前を殺して我が主により『殺戮の戦士』としてその身を捧げよ!』


「それは断る!」


そしてバラクーダと龍馬の戦いが始まった。

バラクーダはブレス中心に龍馬を攻撃して行く、龍馬はブレスを防ぎながら魔法銃をソードモードに切り替えてバラクーダに突進して行く。

そう言った攻防が続き......ついに龍馬はバラクーダを瀕死の状況に持って来たのであった。

しかし、龍馬の方も代償が大きかった。

先ず、バラクーダは左の翼が斬り落とされ、右目が龍馬の剣技によって潰された。

両腕も斬り落とされ、足は左足のみになっていた。

龍馬の方は、バラクーダのブレス攻撃で全身火傷状況で、左腕と右足は既に消滅していてこちらも虫の息になっていたのである。


(最早、此処までか.....俺の最大攻撃ならあいつは消滅するが、俺の方も消滅するかもな....33年生きていたが、悔いはなし!)


「行くぞ! バラクーダ!」


『こい!』


龍馬はバラクーダに特攻を開始したのである。

バラクーダはブレスしか攻撃出来ない為、ブレスを切れるまで放って行く。

その隙を見て龍馬はバラクーダの腹に残った右手の剣を使い突き刺さる!


「これで終わりだ。一緒に地獄に行こうぜ!」


『何を言う。お前は此処で死ねええええ!』


龍馬は最終攻撃を出した。

それは......自分の身体を爆弾にする......いわゆる自爆攻撃であった。

龍馬の自爆により、バラクーダは上半身しか無くなってしまい、龍馬は粉々になって消えて行ったのである。


『我も此処までか......主よ。どうかお元気で.....』

バラクーダはもうすぐ死ぬと悟った時、後ろに7人の影が出て来た。


『ナンバー10。良くやった。帰るぞ』


『貴方達は『エデン』の幹部である『7つの大罪』ではありませんか?』


7人の影の一人がバラクーダに説明する。

『まあ。バラちゃん。大丈夫だよ? ナンバー3が貴方の新しい身体を作るって張り切っていたわ。』


『でもまさかが此処までする事が出来るとはな?』


は貴方の義理とは言え息子何でしょう? ナンバー1』


『そう言うな。ナンバー4。でも粉々になってしまったな。これでは我々の戦士として出来ないな?』


『そうだな。ナンバー5。早くナンバー10のバラクーダを持って帰るぞ』


7人の影は上半身になったバラクーダを持って此処から引き上げてその場から立ち去ろうとした。


(あとは、主にお任せとするか。彼奴の魂を呼びさえすれば本来の計画の達成は出来るからな......。また会おう。我が息子)


ナンバー1と言われた影はそう言って消えて行くのであった。

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