第17話

〜草むら〜


「「「ナノシステムより通知。施設システム、個体名、市役所の自己アインストールを確認しました。自動的にサブシステム、保健所が起動しています」」」


「「「保健所が起動しました。

 保健所から通知。アメジストテクノロジー社製の密集回路及び、チップセット、記憶媒体を自己解体、自己溶解を開始します。本システムは自壊します。冷却装置停止。電圧を加圧中。半導体加熱、、、、、、、、、、一割の半導体に破損を確認。続行します」」」


「「「ナノシステムより警告。代理処理装置が使用不可になりました。ナノマシンにより処理装置を構築します。完了しました。ローカルモードに変更します」」」

「「「ナノシステムより警告。ナノマシーンが規定の一割を切りました。急遽補充してください。なお、個体名、ゆずより供給されているナノマシンは構造変更中の為使用できません。予測残り時間、約一時間です」」」

「「「ナノシステムより警告。ネットワークが切断されました。システム絵本との通知んが途切れました。それにより身体管理機能が停止しました。機械的操作権限が停止しました。なお、生物的操作権限は使用可能です」」」


「「「ナノシステムより通知。処理装置のパフォーマンス低下の為、個体名、ゆずとの通信が不安定になりました。エンコード処理をゆずに代理処理設定を行いますか? 自動選択が有効。実行します。機械データを生物データに変換します。一部エラーを無視し処理中、、、、、、通信が安定しました」」」


 公園内の移動中だった。


「「「保健所から通知。全ての半導体の破損を確認。遠隔操作を停止します。サイバー攻撃を感知。迅速に自己解体を開始します。解体後アインストールを開始します。施設の自己爆発を開始します。衝撃に、そなえてください」」」


 突如、大きな爆発音と共に、爆風が襲う。


 宙を舞う、自身の体と、ゆずの体。


 次の瞬間、硬い板に叩きつけられた。


 鈍い打撃音と共に、もう一つ。軽い内部的な音。

 左上腕だろうか? 激痛が走る。


 明確な場所などどうでもいい。ただもう只管に痛い。

 体が震える。

 骨格が震える。

 激痛が走る。


 声すら出ない。

 風切り音、喉ばかり泣く。


 息を吐く。

 咳が出る。


 温かい雨が降ってくる。


 赤い色の雨だ。


 電子音が喋る。

 聞き取れない。


「「「、、、、、、、よ、、通、、、、、、肺、、、あ、、、、喀、、、、しま、、、、、。、、、、、、、、、、、療、、、、で、、、、、、ませ、、、、。」」」


 再び咳。


 ベチャベチャと、雨音。


 口角が上がる。

 笑っている。


 何故?


 何故?

 何故?


 何故? 何故? 何故?


 わからない。


 声が上がる。


 悲鳴、唸り声、悶絶する声でもない。笑い声だ。


 何が、おかしい。

 自身に問いかける。


 答えは、返って来ない。


 笑い声も、帰って来ない。


 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。


 笑い声は終わらない。


 痛い、、、、、、、。


 意識は遠くなる。途切れはしない。

 

 痛覚が目を覚ます。

 感覚が目を覚ます。


 無にはならない。


「「「、、、、、。、、、、、、、、。、、、、、、、。、、、、、、、、、、、、、、、。、、。、、、、、」」


 何を言っている?


 わからない。理解したくない。


「「「、、、、。、、、、、、、、、、、、、、。、、、。、、、、、。、、、、、、、、」」


「「「ふふ」」


 確かに笑った。


 何も無い。

 そうだ。これは夢だ。


 何も無い。


 そうだ。

 そうだ。


 ははは。


 何も無い。


 ははは。


 呆れた。

 ここで死ぬ私。呆れた。


「「「、、女、、、。な、、、、。死、、せ、、、」」


 不自然に、覚醒した意識の中。


 息をする度に、激痛が走る中。


 言葉すらも、理解できない中。


 私は、必死に考えた。


 ぼーっと、空を見た。


 肺に、液体が貯まる。


 咳をする。


 夕日に照らされる、ファイヤークォーツ。

 キラキラ反射し、幻想的な光景を描写する。


 確か、石の効果は「明るい未来を創る」だったか。


 水滴が落ちる。耳鳴りになった、私の笑い声。

 おかしな、声。


 ふと、隣から笑い声が聞こえる。


 その、共鳴した音。


 それは、空間を彩った。

 そして、笑いあった、楽しい空間。


 冬に鳴く蝉のように。

 儚くまた脆く、楽しい笑い。


 笑った。


 絶望と言えばそこまでだ。


 そうだろうか?


 面白い。


 見損なった明るい未来。


 嬉しい。


 楽しい。


 悲しい。


 苦しい。


 愛しい。


 明るい。


 忙しい。


 ふふふ。


 好き。


 えへへ。


 好き。


 うん。


 私も。


 大好き。


 ずっと一緒だね。


 これからも。


 手、温かい。


 幸せ。

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