イデアはイデア

愛だの恋だのほとほと飽きて、

ひとりお芋を食らいます。

脚のすきまにビル風吹いて、

指がピリピリ痛みます。


高架から見る輝く街は、

みなそれぞれの窓の火よ。

高野豆腐の愛想のなさは、

まあまあなんとも嫌な気分ね。


虹が大きく架かったころに、

麒麟は空を駆けましょう。

まつとし聞かば今かへり来む、

友の契りは美しきかな。


実際問題麒麟は来ない。

甘い言葉を飼う詐欺師。

夢見る少女の魔法は解けて、

深夜十二時残業す。


現実はそう甘くはないぜ、

口を揃えて言いますが、

ときにあなたの現実は、

夢物語でないかしら。


愛だの恋だの、夢物語。

ひとり悟って座ります。

さてさて私は誰でしょう、

マトリョーシカの何番目?


イデアはイデア、世界は世界。

全部コピーにすぎなくて、

虚しくもがく人間が、

きゅいっとつけた爪の跡。


とんだ哲学不遇の時代、

二極分化に凝る時代。

さしも知らじなあなたがた、

頭絞れば夢の露。

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