詩人の死

やっと君をまっすぐに見られた。

それはつまり僕の死だ。

僕という個が死んだのだ。


僕という個が膜をなくして

コモン・センスに飲み込まれたのだ。

君を単純に分節化する

そんなフツウを行ったから。


僕は生まれつき詩人だった。

また同時に生真面目でもあった。

その両者はいずれ相反し

互いを叩き合う定めであった。


君を憎しみ抜きにして

ただ薄っぺらな愛をして

学術的分析に落とし込み

高尚な群れに身をやつす。


本が書けそうな美談になった。

それはつまり僕の死だ。

僕という詩人がたった今

死んだのだ。

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