水色の夢

夢の中、4人は連れ立って街を歩いていた。

学生2人、その片方は私。大人が2人、その片方はあの人であった。

もう片方の学生は仲の良い少年であったが、あの人同様、本当ほんとに会ったことはなかった。

あの人は私たちよりちょっと背が高くて、茶色い上着を着こなし、優しい声で喋った。

大病を患っているようにはとても見えなかった。

私たちは水色の街を歩き、小橋を渡り、心の赴くままにゆっくりと散歩した。

私は少年に、「けさ君の夢を見たよ。君がこの駅の発車ベルを書いて、採用されるんだ」と言った。少年は嬉しそうだった。前を歩く大人2人は微笑ましくそれを見ていた――――

けれどあの人の顔は見えなかった。

私たちは美術館へ行った。白い珊瑚さんごのネックレスやらしずく型の青い宝石やらが黄色い照明の下に輝いていた。

私にはこの美術館が、破滅であるように感じられた……。


水色の街で私たちは、いつまでも冗長に散歩していなければ、ならないと思えた。

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