波の中で ピアノ協奏曲1番の2楽章

サー サー

ザー ザア ザア

ザブ ザブン


潮の香りがします

ルージェ王子さまは本当に来られるのでしょうか

時がよせては帰っていきます

どうか

神さま



タッカ タッカ タッカ タッカ

サーシャ

もう着いたよ




そよ そよ

二人の頬に潮の風が

波打つ





ザザザー

ザブン

潮のかおりとルージェさまの

香りがします

周りは夜につつまれています



サーシャ

この木の並み道を通れば

そこにいるのか



ルージェさま

サーシャ

会いたかったです

私もだよ



時が寄せてきて



ルージェさま

サーシャ

どれほど待ち続けたことでしょうか

待たせたね



波が帰っていく



でも

でもとは

これで最後でしょうか

そうだ



時が押し寄せてきて



でも

わかっている

会いたかったです

私もだよ



波が帰っていく



闇の中に

やみの中にとは

月が照らしています

私達をだね



月のひかりが



ルージェさま

サーシャ

強く抱きしめて下さい

ああ サーシャ



ふたりを照らす



もっと

わかった

ルージェさまの胸は温かいです

そうか



波が押し寄せて



ルージェさま

どうした

波が私の足に

僕もだよ



二人をつつみ



ルージェさま

なんだ

頬が温かいです

私もだよ



そして



ルージェさま

どうした

お願いがあります

なんだ



ふたりは



私の唇に

灯りをつけてください

ああ

わかった



ザー

ザブ ザブ

シュワ シュワ シュワ



月のひかりが

照らしています

サーシャの瞳に

月が写っているよ



ひとつの星に



ルージェさまの唇は

優しいです

聴こえます

本当だね



波は寄せて



聴こえてきました

遠くから

別れの曲が

そうだね



時は帰っていく

月を抱きながら











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