第55話 思いの魔法

 レイはカドラの体の下へ歩き始めた。無意識のうちにレイは両手をカドラの体に向けて構えた。

「呪いなんて消滅しちまえ」そんな言葉を言ったつもりだった。

「バディア・フェード・ダッカン」するとテイラがレイの中に入り込んだような気がした。レイの足元を中心に夢を包み込むほど大きな魔法陣が現れた。魔法陣は銀色に光り、その上に同じぐらい大きな銀色で半透明の花が輝きながら咲いた。そして花はカドラを包むようにしぼんでいった。輝きを絶やさないまま。カドラの体は苦しそうにあえいでいた。逃げようとしても、逃げ場がなかった。しぼみきると、大きな花は

「パンッ」と小さな粉のような光に姿を変えて夢全体で降り積もっていった。レイはどっとあふれた疲れに耐えきれず、その場に

「ドサッ」と倒れて眠ってしまった。

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