第38話 キィダの呪い

 「コンコンコン」とドアをたたく音が鳴り、

「どうぞ」とカルデが言うとキィダが家に入ってきた。

「脱獄したなんて、未だに信じられませんね」とキィダは呟いた。

「いいじゃん、もう過ぎたことだし」カルデは軽く受け流した。

「キィダ、なんでずっとその姿でいるの?」

「・・・私にはどうすることもできませんので」

「なんで?」

「私は呪われましたから・・・カルデさんでも解けるかどうか微妙な感じです」

「やってみないとわかんないでしょ」カルデはキィダに手をかざした。カルデの右の頬に水色に光るギザギザの線が下から上るように入った。風が吹き、カルデの髪をなびかせた。するとキィダの中から青く光る鎖が見えてきた。鎖は大きくなり、何かを訴え始めた。

「我を破壊してはならない。破壊すれば今までの平和は一瞬の出来事によって失われることになる。取り返しがつかなくなる。たとえお前が善の者でも、我を破壊した後の戦いでは善も悪も関係なくなる。皆が死ぬ。皆が消える。それでもお前は我を壊すか?」

「壊す。お前は悪魔でティルジン王の嫌がらせの材料。後に戦いがあって、たくさんの人が死ぬとしても、新たに一から平和を作り直せばいい」カルデは力を込めた。すると、

「バディア。バディア。バディア。バディア」と何かがレイに囁いた。

「え?バディア?」

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