第9話 母の思い
すると、キィダは
「ㇲッ」とレアサの姿になった。もちろん黄色く、ガラスのように半透明だ。キィダはうずくまって頭を抱えているレイのところへ行き、レイの肩に手を置いて、
「誰もレイのことなんて恨んでないわ。お母さんはレイに感謝してるの。あんなに大きくて恐ろしい大男を相手にお母さんを助けようと立ち向かってくれた、あのレイの姿が見られてうれしかったし、今夢の世界にいたとしても生きていてくれてること事態がお母さんにとって宝物なの。だからそんなに自分を追い詰めないで。これからはお母さんの分も、お父さんの分もレイが生きて」と言った。レイはお母さんの声に気が付き、顔を上げた。レイはキィダがレアサの声で話していたのにびっくりした。
「キィダって喋れたの?!」とレイが聞くと、また
「ㇲッ」とキィダは形を変えた。今度はレイの姿になった。そして、
「そうだよ。でも喋るのは疲れるから、あんまり使わないんだ。王様と話すときぐらいかな、喋るのは。まあだから最初、君と話すときは文字を出してたんだ」とキィダはレイの声で言った。
「まぁとにかく、君は穴を意識的に作るのは無理そうだから夢の世界に行って、現実とつながっているドアを使うか」 とキィダは少しため息まじりに言った。
「夢の世界と現実がつながってるドアなんてあるの?」とレイはビックリした。
「なかったら寝てる間に見る夢もないよ」とキィダはすまし顔で言った。
「でもどうやって夢の世界に行くの?どこにもここから抜け出せるようなところはないし」
「俺の魔法で行くんだ。瞬間移動って言えばわかる?」するとキィダは
「スッ」と元の丸い形になり、
「フルフル」とゆれると大きくなってレイを包み込んだ。すると、レイの目の前の空中に文字が現れた。
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