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<IF>的当教授の皇帝

ミーン…ミンミンミーン

クーラーがごうごうと動く冷えた部屋の中を、蝉の鳴き声が駆け巡る。けたたましいその音で、僕は目を覚ました。

(…寝てたのか。なんだか悪い夢でも見てたみたいだな。)

いつも見てるはずの教室なのに不思議と懐かしい感じがした。

「おっと失礼。お休み中だったかな。」

椅子から立ち上がると、そこには的当（まとあて）教授がいた。その手に一枚のコピー用紙を握って。

「どうしたんですか？今日は休日ですよ。」

「だからこそ来たんだよ。ちょっと君に用があってね。」

そういうと、的当教授はコピー用紙を見せてきた。

「何ですかこれ?」

そこには、まるでキーボードを適当に叩いて書いたかのような、よくわからない文字列が並んでいた。

「真島くん。これが何を意味してるのか分かるか？」

正直、その文字列は支離滅裂だし意味なんて無いと思ったが、何故か否定する気にはなれなかった。ここで、「意味が分かりません。」だとか「ふざけないでください」とか言ってしまうと後悔する。そんな気がするのだ。だから僕は…

「分からない…けれど、調べれば何か分かるかもしれないですね。」

的当教授に付き合う決断をした。

「そうか。では早速調べに行くとしよう。」

「一体どこへ？」

「まずは私のお気に入りの喫茶店に行こうか。何か掴めるかもね。」

的当教授はどことなく嬉しそうだ。

(そういうことか。恥ずかしがらなくてもいいのに。)

的当教授の気持ちを察した僕は、彼女の背中を追いかけた。

カナカナカナ…

日差しも収まり、ひぐらしの鳴き声も　聞こえてきた。いい午後になりそうだ。