的当教授の溶解

教授が意味不明な怪文書を渡してきた翌日。

教授はゼミに来なかった。


「あの教授が休み?嘘だろ?変人バカは風邪ひかないんじゃ無いのかよ!」

ゼミ1のお調子者の本山もとやまが茶化した。


ハハハハハ!


それに応じるかのよう教室中に笑い声が響く。


「なあ、真島。お前、帰りに的当まとあての様子見に行ってこいよ。家知ってるんだろ?」

本山は、机から身を乗り出して、3つ先の席の僕に話しかけてきた。

「もちろん行く予定ですよ。かなり心配なんで…ハハッ…」


「だよな。先週までいつも通りバカやってたのに今日来ないなんて、おかしいよな!だから、頼んだぜ!」


「は、はい」

彼の勢いに面食らい、圧倒されてしまった。

もしかしたら僕より教授の事を心配している…のかもしれない。


〜〜〜


的当教授の家は大学から電車で15分。そこから徒歩5分の所に建っているマンションの一室だ。


ピンポーン!

早速インターフォンを押してみる。

しかし、反応は無い。留守か?


ドロォ…

足元に気配を感じ、下を向く。

「なに…これ」


ドアの隙間から虹色に光る油のような物が滲み出ていた。誰が見ても異常な状況だ。


「教授!」

僕は既にドアノブに手をかけていた。

扉の先にどんな危険が待ってるか分からないのに、手が勝手に動いていた。

ガチャ…

ドアに鍵はかかっておらず、すんなりと空いた。


そこは地獄だった。


玄関には外に滲み出ていた液体が水溜りのように広がっており、その中心に、教授のものと思われるスーツやブラウスが浮かんでいた。


何があったのか分からないが、教授がどうなったかすぐに分かった。


この液体は…だったものだ

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