的当教授の主張

「何ですかこれ?」


教授から手渡された一枚のコピー用紙。そこには、まるでキーボードを適当に叩いて書いたかのような、よくわからない文字列が並んでいた。


「真島くん。これが何を意味してるのか分かるか?」


「意味など無いように見えますが。」


「そうだ。これに意味などない。では、何故なにゆえにこの文書を作ってしまったのか?」


「文章を作った理由?そんなの聞いてどうするんですか?」


「仮にこれが、『世界滅亡の予言書』だったと仮定しよう。それが現実に叶ってしまったら、真っ先に叩かれるのは、この文書について適当に突き放した君になる。」


「そもそも叩く人がいないのでは?」


「…細かいことは気にしないで欲しい。つまりだ、『意味不明な事でも、理解できるまで調べろ』という事を言いたかったんだ。」


「教授、回りくどいですよ。こんなもの作らなくても説明できたと思いますよ。」


「は…それも、そう。そうだな。」


それから丸1日、教授は魂が抜けたように、窓を眺めていたようだ。

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