Diary of Life

コネリー

Diary of Life

2021.4.7

『今日から高校二年生!』

 一年の時に仲の良かった友だちと別のクラスになっちゃった。

 少し寂しかったんだけど、同級生のサキちゃんという新しい友だちができた。

 昼休憩に「アキちゃんだよね、私と一文字違いだ!」って笑いながら話しかけてくれたんだ。

 クラスは別なんだけど、県外の学校から転校して来たばっかりなんだって。

 笑顔がとっても可愛くて、初対面なのになんだかずっと前から友だちだったみたい。

 また明日、サキちゃんと会うのが楽しみだなー。


2021.4.8

『いきなりテスト!』

 新学期始まったばかりなのに、テストなんてありえない(>_<)

 めちゃくちゃ疲れたけど、帰り道でサキちゃんと一緒になったから、カフェに寄ってたくさんお喋りした。

 なんと、好きなマンガやアーティストが同じだったんだよ!

 すごく話が盛り上がって、帰りが遅くなったからお母さんに怒られちゃった……。


2021.4.9

『気になる……』

 今日はサキちゃんとお昼を一緒に食べた。

 コンビニのお弁当だったから、サキちゃんの家の人は朝忙しいのかな?

 初めて会った時からなんだけど、時々私の顔をじーっと見ることがあるんだよね。

 顔に何か付いてる?って聞くんだけど「何でもないよ」って誤魔化されちゃった。

 うーん、気になるなー。


2021.4.10

『すごい偶然!』

 今日はお休みで、近くの本屋さんに参考書を買いに行った。

 そしたらなんと、サキちゃんも本屋に入って来たからビックリしちゃった!

 しかも、私と同じ参考書を買いに来たんだって。

「すごい偶然だねー」なんて言って二人ではしゃいでいたら、店員さんに変な目で見られちゃった笑

 明日は二人とも予定がないから、一緒に映画観に行く約束をしたよ。

 楽しみだなー!


2021.4.11

『サキちゃんとデート♡』

 金曜日に公開されたばかりの映画、前から観たかったんだ。

 サキちゃんと一緒に観られて良かったな。

 この映画、サキちゃんのおばあちゃんも大好きなんだって。

 そのあと、お昼にハンバーガー食べて、またたくさんお喋りした。

 サキちゃん家まで送って帰るよって言ったんだけど「遠いから大丈夫!」って言って急いで帰っちゃった。

 近くの本屋で会ったから、ウチの近所に住んでると思ってたんだけどな……。


2021.4.12

『プレゼント!』

 今日は、サキちゃんが放課後に会いに来てくれたから、昨日こっそり買った誕生日プレゼントを渡した。

 サキちゃんすごくビックリしてたけど、私が日記帳代わりに使ってる手帳、すごく喜んでもらえて嬉しかったー!

 誕生日を聞いておいて良かった。


2021.4.13

『将来のこと』

 今日も放課後にサキちゃんが来てくれたけど、すごく元気が無かった。

 理由を聞いても「大丈夫だよ」っていうばっかりで、教えてくれなかった。

 何か楽しい話題! と思って今日受けた進路学習の授業の話をした。

 私は将来、高校の国語教師を目指してるって言ったら「アキちゃんなら絶対なれるよ! だから、それまで頑張って生きてね!」ってすごい勢いで応援してくれたんだ。

 数年後の話なのに「頑張って生きてね」なんて変なこと言わないでよって笑ったら、サキちゃんもやっと笑ってくれた。

 帰り道で何度も「また会おうね!」って言ってたな。


2021.4.14

『どうしたんだろう』

 今日はサキちゃんが会いに来なかった。

 最近は毎日会ってたから、すごく寂しかったよ。

 何か用事があって、忙しかったのかな?

 明日は来てくれるといいな。


2021.4.15

『寂しい』

 今日もサキちゃんと会えなかった。

 二年の何組なのか聞いていなかったから、他のクラスを覗きに行ってみたんだけど、サキちゃんの姿は見当たらなかった。

 友だちにも聞いてみたけど、そんな子知らないって言うし。

 携帯の番号を聞いておけばよかった。

 もう一度、サキちゃんに会いたいな……。


2021.4.16

『手紙』

 サキちゃんから手紙が届いた。

 消印は、四月十三日。

 サキちゃんと、最後に会った日だった。


----------ーー


アキちゃんへ


 突然居なくなって、ゴメンね。

 こっちに滞在できる期間が一週間しかなかったから、もう帰らないといけないの。

 私とたくさんお話ししてくれてありがとう。

 この一週間、本当に楽しかった。


 いきなりだけど、結論から言うね。




 私は、あなたの孫です。




 五十年後の未来から、過去に戻れる機械(タイムマシンって言えば分かりやすいかな?)を使って、アキちゃんに会いに来ました。


 本当は、顔だけ見られたら要件だけ済ませて帰るつもりだったんだけど、あまりにも私のお母さんにそっくりだったから、話しかけてみたくなっちゃった。

 仲良くしてくれて、嬉しかった。


 私、アキちゃんがつけていた日記を読むのが大好きで、好きなマンガや音楽や映画のこと、何でも知ってるんだよ。




 ここからが本題!

 私が会いに来た目的について書くね。




 アキちゃん。

 あなたは今から八年後、二十四歳の時に脳の病気で亡くなります。


 大学生の時に倒れて、ずっと入院する事になるんだよ。

 その病院で、医者をしていたおじいちゃんと結婚するんだけど、アキちゃんは私のお母さんを出産して間もなく亡くなってしまうの。

 出産は脳の負担になるからって、お医者さんも家族も反対したんだけど、アキちゃんはどうしても産みたいって聞かなかったんだって。


 私がこの時代へ来た目的は、

「定期的に脳の検査を受けて欲しい」

 という事を、どんな形でもいいからアキちゃんに伝えるため。


 最初に倒れた時には、病気が進行しちゃっていて、もう手遅れだったの。

 もっと早く見つかっていれば、治療ができていたかも知れないんだって。


 お母さんが生まれた日で止まってしまったアキちゃんの日記には、闘病生活の事も全部書いてあった。

 そこには「国語の先生になりたい!」「娘が育つ姿を見守りたい!」「生きたい!」って、叶えられなかった夢が詰まってた。

 読んだ時は、涙が止まらなかった。


 そんな時、過去に戻れる機械が開発されたのを知って、まだ生きているアキちゃんにこの事を伝えようって思ったの。

 本当は、未来の事を過去の人に伝えるのは禁止されてるんだけどね。

 ただ、そんなことをしても「私の居た未来」が変わるわけじゃないんだって。


 ちょっと難しいんだけど、「私の未来」はもう存在しているから、どれだけ過去を変えても変わらないの。

 もし、この手紙によって未来が変わったとしても、そこから先は別の世界に枝分かれして、私がその未来を見ることはできないんだって。

 つまり、この先アキちゃんが生きていたとしても、私が帰る未来のアキちゃんはやっぱり亡くなっているの。


 でもね、たとえ別な世界でもいいから、アキちゃんには生きて、夢を叶えてもらいたい。

 本当は、おばあちゃんになったアキちゃんにも会ってみたかったけど、生きていてくれたら私はそれで幸せだよ。

 私と同い年のアキちゃんにも会ってみたかったしね。




 突然こんな手紙を貰って、きっと戸惑ってるよね。

 だけど、どうか信じてほしい。

 私の未来は変わらないけど、アキちゃんの未来は、きっと変えられるはずだよ。


 それじゃ、いつまでも元気で。

 いつかアキちゃんに孫ができても、その子は私じゃないかも知れないけど、いっぱい可愛がってあげてね!

 プレゼントありがとう、すごく嬉しかったよ。

 未来に帰ったら、私もこの手帳に日記を書くね。




 アキちゃんの親友 サキより


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2055.4.12

『再会』

 娘のマキから、無事に出産したと電話があって、すぐに病院へ駆けつける。

 ベッドで寝息を立てるマキは、疲れた顔をしていたけれど、元気そうでホッとした。


 隣のベビーベッドですやすやと眠る、生まれたばかりの孫娘をそっと覗き込む。

 思った通り、あの子の面影があった。


 私は二人を起こさないように、小さな声で囁いた。



「久しぶり、やっと会えたね」




<おわり>

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