(5)夜のお茶会
◇◇◇◇◇◇
時間は夜が近づいて来た頃合。中年達は魔法部屋で少し軽めの晩ご飯を食べていた。
「ほっ本当に私が来ても良かったんですか?」
「もちろんですよベーネさん」
ベーネちゃんは少し中年に箱を渡した事で距離を取ろうとしていた。
そこで中年は今回の夜のお茶会と言うサプライズを思い至ったのだ、言葉で気にしてませんと言っても彼女が気にすると言うのなら仕方ない。
けどせっかくの眼鏡装備のメイドさんと言うコスプレをしてくれる変わり者のベーネちゃんと言う人材とおさらばしたくないと言う中年の意思だって自由の筈だ。
なら今日のお茶会の様にたまには中年やうちのパーティーメンバーに顔を見せて欲しい旨を伝えようと思う。何しろうちの銀髪ツインメイドのユーリがせっかく仕事を教えているのに逃げたとプリプリしていたしな。
「この後はお茶会もありますから食い過ぎるのはいけませんよベーネ」
「はっはい!師匠!」
師匠?、いつの間にかメイド同士で師弟関係が生まれていた様だ。
そして晩ご飯を済ませると明るいうちに屋敷のベランダにセッティングしたお茶会の場所に行くとしますか。
そして転移した、あるのは幾つもの白い丸テーブルとそれに並べられたお菓子の類いである。
女子は本当に甘い物が好きですな、それと流石にこの頃は夜も冷える。私の魔法で結界を1つこのベランダに張った。
夜風を抑えて身体が冷えるのを防止する結界魔法だ、それと暖かいお茶があれば完璧だろう。
「ご主人様、お茶をお入れします」
「ありがとうユーリ」
「他の方にはリエリがお入れします」
「それじゃあお願いしま~~~す」
お茶会にはエルフ3人娘も来ている、イオちゃん達と合わせて10人程のお茶会である。
精霊幼女もお菓子をパクパクしている、赤ツインと銀髪ボブがドラゴンチョコレートととやらを見て驚いていた。
「ちょっこんなヤバいの買ってきたの!?」
「……………ドラゴンチョコレート」
「ん?このチョコレートは美味いぞ?モグモグ」
2人の前でシアちゃんがドラゴンチョコレートをガシッと掴んでドラゴンの頭からバリボリと食べている。アレは自分より強いヤツになら大人しく食べられるらしいのだ。
中年が食べようとしたらにらみ付けてきた、魔法で動けなくして食ってやったよ。
そしてお茶会を観察するとイオちゃんがベーネちゃんと何か話をしていた。
なんか気になったので向かってみる。
「ベーネさんでしたね?私に何か?」
「はっはい、実は謝りたい事がありまして…」
「謝りたい事ですか?」
「はい、実は私がそれと気付かずにアオノさんに渡した物が魅了薬で、それはイオリア先生を狙った物らしかったんです」
ベーネちゃんは正直者だなぁ、ワザワザ言わなくても中年は告げ口とかしなかったのに…。
「………そうですか、あのエーグルの言葉の意味が分かりました。しかしなんでその話を?」
「だってアオノさんにもイオリア先生にも迷惑をかける所でした、それなのにこんな所にまでノコノコ来て好かったのかと……」
そんな2人の会話に平然と割り込む者あり!それはうちのゴーレム、ユーリです。
「何を下らない心配をしてるんですか?ご主人様がその程度の罠を気づかない訳ないでしょう、それにイオも魔法の腕は……まあそこそこ認めていますから、絶対に何も起きはしなかったに決まっています」
少し面食らう2人、しかし先に復活したのはイオちゃんであった。
「……フフッ!確かに、その通りですよベーネさん?私もこの学園都市の教師です魅了薬なんて一目見れば分かります気にしてはいませんよ」
「でッでも私は……」
「それに私にはですね、私を守るって言ってくれた人が………」
むむ?イオちゃんがベーネちゃんにボソボソと声をわざと低くして何か話している。中年の耳では聞き取れないぞ?魔法を使えば別だけど、ここで魔法を使うとバレそうなので無理である。
しかしベーネちゃんはハッとした感じで目を開く、そしてその視線はイオちゃんと……私?なんでだろうか。
やがてお茶会は進み、皆大満足の様子だ。
「……それでは皆さん、私から最後に1つ魔法を使ったショーを見せましょう」
せっかく学園都市と結界を張り直して空が綺麗に見える様にしたんだ、それにエリンギ岩の上に立つこの学園都市は空気も澄んでいて……夜空の星がとてもよく見える。
集まった皆の視線が中年に集まる。
「…………言っておきますけど、別に何かを壊したりはしませんからね?」
………今、ちょっとホッとした美人がいたな、イオちゃんとベーネちゃん、それにシアちゃんだ。
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