(11)リエリは聞いた、イオの怒り
◇◇◇学園都市・廊下◇◇◇
リエリはビー玉の様な姿で更に異空法衣の魔法を発動し、誰にも気づかれることなく学園内を移動していた。
リエリの目的は例のウワサの出所と思しき男、エーグルの元に行きあの男が何の目的でこんな愚かな真似をしたのかを調べるつもりなのである。
(……まあ私の予想が当たっている可能性が高いですが、予想は予想、やはり裏を取るべきですからね)
今のリエリはアオノとユーリ以外には誰にも認識されないと自身の魔法を自負している、過去に気づかれた事があったりもしたがそれはリエリの中では既になかった事になっている話だ。
リエリは宙をフヨフヨと浮いて進む。
すると学園の廊下には生徒が何人も歩いていた、彼ら彼女らは何やら会話をしていた。
それは青野とエーグルの試合の話であった。
「ねぇっ聞いた?エーグル先生が外の魔法使いに負けたって話……」
「うんうん聞いたわよ!」
(……やはり、ご主人様の事がかなり広まっていますね)
「何でも外の魔法使いにアッサリ負けたって?」
「ガッカリだよなエーグル先生には、もうあの人が受け持つ学科受けるの辞めるか?」
「俺はそのアオノってのが卑怯な真似をしたって聞いたぞ!?」
「エーグル先生。かなりの数の生徒を試験場に手引きしといて負けたんだって」
「……ああ~~エーグル先生、多分イオリア先生に……」
「だよね~~エーグル先生自信家だったから……」
(生徒達のウワサと言うのも内容がかなり違いますね、ご主人様が卑怯な真似をしたなんてどこの馬鹿が言い出したのでしょうか?魔法で罰しますよ)
リエリは生徒達の会話を聞きながら更に学園内を移動する、リエリも青野には及ばないが魔力感知が使えた。それを発動してエーグルを探していたのだ。
エーグルは青野にやられた後、他の教師から医務室に運ばれていった。
恐らく今も医務室にいるのではとリエリは考えていたので医務室を探していたリエリだ。
(ハァッここまで学園が広いと探すのもひと苦労ですね……仕方ないです)
リエリは魔力感知の範囲を一気に広げる、学園の生徒や教師の中からエーグルの魔力を探す。
索敵範囲を数キロ以上に広げた所で反応があった。
(見つけました、後は転移を……ん?)
リエリは気づいた、エーグルの近くにイオリア、そして青野の魔力があることに。
「…………これは、急ぐ必要がありますね」
リエリは転移魔法を発動した。
リエリが転移した先は青野達がいる喫茶店であった、そこに何故かエーグルが来ていてイオリアと何か話をしていた。
しかしエーグルはかなり語尾を強めている。
イオリアも務めて冷静に話しているが……。
(何やら口論をしてますね、あのエーグルと言う男が一方的にまくし立てている様ですが、イオのあの表情。かなり怒っていますね)
リエリが姿を消したまま接近すると話の内容はほぼ終わり付近の様であった。
「イオリア先生は騙されているんですよ!私が負けたのはその男の実力じゃない!何か汚い手を…」
「我々の視界が届かなくなる魔法を使ったのはエーグル先生です、何故彼が汚い手など使うと言えるんですか?私から言わせれば貴方が使った魔法は試験を受けてもらう上では使うべき魔法ではなかったと思いますが?」
「そっそれは……」
「それに実力じゃない?直接試合をしたのに貴方はアオノさんの実力を何も理解出来ていないと?」
「しっしかし気がついた時には私はベッドの上で……」
「それもアオノさんが貴方を気絶させる時に加減をしてくれていたから今もこうして立っていられるんですよ?」
「なっなな!加減した……だと!?」
イオリアの言葉にエーグルは顔を真っ赤にして激怒している。
しかしイオリアにとっては何を怒っているのかと言う話であった。
「そもそも、何をされたか分からない?それは魔法使いてして実力が及ばなかった事を認める様なものですよね?」
「ちっ違う違う違う!私の力はあんな物では……あんな外の魔法使い如きに」
「…………1つ言っておきます」
リエリは直感した、そろそろ限界ですねっと。
「アオノさんの実力は私が保障します、2度とその如きっと言う言葉を使わないで下さい」
「イッイオリア先生!?」
「エーグル先生、貴方には少し失望しました、行きましょうアオノさん……」
イオリアは青野の手を引いて喫茶店を出て行く。
エーグルにはまるで見せつけるかの様に見えただろう、そしてリエリはその瞳に憎悪が宿るのを見た気がした。
(……ハァッイオの言う事に間違いはありませんが、ご主人様の敵を増やす様な事はやめてほしいですね、まあこの男が何かすればリエリとユーリで片付けるだけですが)
リエリも青野達を追い掛けて喫茶店を後にする、後には魔法使いとしも男としても負け犬となったエーグルと彼に憐れみの視線を向ける喫茶店の店員と客達がそこに残った。
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