(3)空が霞んでいた

「ふうっまあいいわ、その魔法使いの事はここまでにしましょう。それよりも…」


フォリアはイオリアの机の上に視線を向ける、様々な資料が山積みだ。

イオリアが今日中に片付けるつもりの仕事の量に呆れて溜め息をつく。


「ハァッ……ちょっとイオリアそれ、今日中に片付けるつもり?」


「ハイッ折角この学園都市にきてもらったのに招いた私が私用で都市の案内すら碌に出来ないままではアオノさん達に悪いですから、ある程度は今日中に片付けるつもりです…」


「…………」

フォリアは黙ってその資料の山を手にする。

「…フォリア先生?」

「手伝ってあげるわ、早くその魔法使いさんに合いに行きたいんでしょ?」


「ハッハァッ!?何を……そっそんなんじゃないですからねフォリア!」

「フフッやっと先生が取れたわね、2人しかいないのに硬っ苦しいアンタが悪いのよ」


子供頃から親しい仲のフォリアにはイオリアの言葉と表情で丸わかりだった様だ。

こうして2人のエルフの時間は仕事半分、私語半分で過ぎていく。



◇◇◇魔法部屋・リビングルーム◇◇◇



「「いただきまーす!」」

「「……いただきます」」

「いただきます」


時間も遅くなり夜になった、晩ご飯の時間だ。

元気にいただきますしたのはシアちゃんと精霊幼女だ食べるの大好きな2人である。


ユーリとリエリは落ち着いていただきますしてる、そして私も少し遅れていただきますだ。


「いっ…いただきま~~す」

「い~ただきま~~す~~!」

「……いただきます」

「おっおいしそうな料理ねっいっいただきます…」


そして今回はお客さんが来ている。エロいメイド姿のベーネちゃんとシーラ、モア、ミラのエルフ3人娘である。


ベーネちゃんは今日とてもよく働いてくれていたので晩ご飯に誘った所でこのエルフ3人娘がその場に現れた、そして青ウェーブ髪のシーラが私達も食べたいともう抗議してきたので連れてきたのだ。


あのシーラッって子は食べ物に対して並々ならぬ強い関心があるらしく外の料理が食べられると思ったのかかなり積極的にご飯を要求された。


残念ながらこの世界の料理じゃなくて私が前にいた世界の料理なのだが……。

「オオ~~ッ!このロールキャベツって料理ウマッ!」

「………私はこのオムライスが好きです」


「おっおいしいじゃない!」

「ハグッ!モグッ!ハグハグッ!」

フフッどうやら気に入ってもらえた様だ、今回の料理はロールキャベツやオムライスといった洋風の料理が並ぶ。


料理をしたリエリは静かに食事をしているが内心は喜んでいると思う……そして何故がシアちゃんもフフンと満足げだった。


君の料理への参加は中年がちゃんと阻止した筈だよね?何を自分も作りましたみたいな顔をしてるのシアちゃんは……。


「フフッたんと食べろよ!」

「………言っておきますが料理の最後に調味料を施したくらいで料理を作ったとはなりませんからね?」


「なっ何だよ!?狩りとかなら最後にトドメを刺したヤツが1番偉いだろうが!」

そりゃ狩りだからだよシアちゃん、リエリの冷静なツッコミに1票である。


なんか一気に人数が増えたので、リビングルームを急遽広くしてテーブルをもう一つ増やしたかいがあったかな。こういう時に自分の魔法で生み出した空間だと自由がきいて楽である。


その後はなんやかんやと賑やかな食卓であった。



◇◇◇豪華な屋敷・ベランダ◇◇◇



時間は既に夜である、ふと魔法部屋から出てみた私だ。

何となく空を見上げる、すると1つ気づいた。


「……夜空が霞んでいる?」


そうっこの世界の夜空は月が何個もあってその数が季節とかで変わったり、夜空の星々がやたらとキラキラして大変美しいのだ。


それが今夜に限って、なんか薄い霧に覆われたようになっていて大分見えにくい。

「ああっそれは学園都市を覆っている結界の影響ですよ」

「………イオさん」


こんな夜更けにイオちゃん登場、ワザワザ転移魔法でこちらに来たのか一瞬で現れたぞ。


「学園都市の中から中でならある程度の実力がある魔法使いなら転移魔法も使えるんです」

「成る程、そうだったんですね」


「それと、二日後に第3魔法実験場でアオノさんの魔法使いとしての実力を学園都市側が見たいとの事でしたからその事を知らせに来ました」

「二日後ですか、分かりました」


未だに先生と生徒どっちでこの学園都市での生活をエンジョイすべきが悩んでる私だけど、それはそれ、全力で試験とかは挑むよ。大分本番までの時間はないけどね。


……それにしてもイオちゃん、そんなの念話で説明してくれても良かったのに。けどワザワザ姿を見せてくれた事に感謝してる。


美人って姿を見るだけで元気出るからね。


本当はヨーロピアンなイスとかテーブルを出してお茶と菓子でも出して夜の時間を楽しむとかもアリかもだが、流石にこの夜空だと雰囲気も何もあったもんじゃないし。


「アオノさん、そろそろ夜は冷える頃です。魔法部屋に戻った方が良いですよ?私も今日は少し疲れましたからお世話になって魔法部屋で休もうかと思います」

「……そうですね」


学園都市ならイオちゃんも自分の家とかありそうなもんだけど、それでもこちらに来てくれるって何気に中年はとても嬉しかったりします。


部屋の内装とかベッドとかも良いのを揃えといて良かったわぁ~~~。


「…………ハッ話が…途切れてしまいました、ハァッ…」

「………?」

イオちゃんの方から何か聞こえた気がしたが、振り返ると既にイオちゃんは魔法部屋に転移していた。









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