(2)中年が教師に?
◇◇◇学園都市郊外・飛行艇集合場所◇◇◇
「これだけ多くの飛行艇がこの魔法学園都市に来てるんですね」
「はいっ魔法学園都市は世界中に多くの者を派遣しています。私の様に実際に外の世界に行って才能のある子供を見つけ、この魔法学園都市に案内するんです」
その場所だけでも十数を越える大きな飛行艇が並んでいた。
飛行艇から降りる我々はそんな飛行艇を見ながら会話をする。
この世界はまだまだ義務教育なんて言葉はない、やはりお金がある所の者達だけしか満足な教育を受ける事は出来ないのだ。
しかしこの魔法学園都市はお金云々ではなく、単純に魔法、或いは他にも色々な才能がある子供をイオちゃんの様な学園で教鞭を取っている者が発掘する為に様々な場所に行く。
私とイオちゃんが出会ったのはそんな場所に中年が赴いていたからである。
当初こそ結構なツンツン具合に心を抉られた記憶もあるし魔法を顔面にかまされた事もあったが………まぁ過去の話だ、今はそれなりに上手くやっているっと思う事にしてる私だ。
「………ここが魔法学園都市エルマですか」
「まだ都市からは離れていますよユーリ」
「はいっそれにしてもかなりの者達が集まっています、ご主人様の守りに集中しましょうリエリ」
「ええっ分かってます」
何を分かってるのゴーレムツインズ?、2人の会話は私を護衛する事がメインだ、もう少し空の旅の感想とか話してみて欲しい。
しかし一見感情が読み取れない無表情なクールツインズだけど多くの物事に関心を持っている事を私は知っている。
要はとてもいい子達である。
「ほうっ本当に色んな種族の者達がいるな!アオノ、私は一足先に都市の観光をしに……」
「いいわけあるか!」
「ダメですよラブーンさん」
「………ちっ!分かったよ」
私とシアちゃんの声が同時にあがり、精霊幼女のワガママ発言を封じる。
ここで好き勝手にすると何ヶ月もかけてこの魔法学園都市まで案内してくれたイオちゃんの顔に泥を塗る事になりかねない、それはダメだろう。
この後の行動はやはり
「それではイオさん、我々はこの後の予定はどうなるのでしょうか?」
「はいっこの後我々はこの場の皆さんと共に学園都市に向けて移動します。そして向こうで幾つかの集まり分けられて魔法学園への入学説明を受けるのですが………」
イオちゃんの言葉が詰まる、何故ならイオちゃんと共に来た私は中年魔法使いであるからして。
正直学生としてこの学園都市入学するなんてつもりで来てはいないのだ。
イオちゃんからはその辺りの説明を誤魔化されたまま、ここまでついてきた次第である。
だってイオちゃん美人だしさ、こんな子に話を聞いた場所なら行ってみたくもなるじゃん?私はなったのでここにいます。
「私達は学園都市に入学するなんて話は聞いていませんよイオ?」
「ご主人様が今更魔法を学ぶ理由や意味があると思っているんですか?」
ゴーレムツインズからの冷静なツッコミ、チート魔法を持ってるおっさんを若者集まる学園都市に入学とか、中々イメージしづらいのは同意する。
そう言うのは異世界に来たと同時に若返った系の異世界物のラノベ主人公の特権だよねやっぱり。
「……そうですね、実はその辺り事について考えはありましたが今まで私は話をしてきませんでした。すみませんアオノさん、なし崩し的な感じでここまで来て頂いてしまって」
「私は旅の者ですから、特に忙しい訳でもありませんので大丈夫です」
「そう言ってくれると助かります……」
そしてイオちゃんは私とゴーレムツインズ、精霊幼女とシアちゃんに視線を向けた。
「私がアオノさんや皆さんをこの魔法学園都市エルマに連れてきた理由ですが、実は私はアオノさんにこの学園都市で共に教鞭を取って欲しいと考えています」
「「………………」」
「…………………」
無言なゴーレムツインズと私である。
「は?、アオノは旅をしてると今言ったばかりだろう?何を言ってるんだエルフ女!」
「……一時身を寄せるならともかく、教師になんてなれるとは俺も思えないぞ?」
精霊幼女とシアちゃんはとても素直な意見を言っている、そしてそれは正しい。
私はこのファンタジーな世界で様々な場所を旅するのも1つの目的だ、もう1つの目的は異世界産の美人な彼女が欲しいってヤツである。煩悩おじさんでゴメンね。
しかしリエリとユーリが無言なのは、2人はきっと分かってるからだ。
私ならそれも出来てしまうって事がさ……。
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