淫乱令嬢♡追放された後の後
青木のう
淫乱令嬢♡追放された後の後
前書き
♡♡♡♡♡は場面転換です
よろしくお願いします
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「ビビアナ・ビアンキ侯爵令嬢を、身分剥奪の上国外追放に処す!」
前略、世界の皆様ごきげんよう。
突然ですが私、国外追放を言い渡された身の上ですの。
え? 栄光の聖アモリアーナ王国の由緒正しいビアンキ侯爵家に生まれた私が、
王子様の意中の相手に嫌がらせをした?
いいえ、そんなくだらないことでこんなに重い処分は下りませんわ。
理由は簡単。私が
私は気持ちいいのも男女の営みも大好きですわ。
顔の良い男を見ると、はっきり言って興奮します。
顔があまり良くなくてもパワフルな感じだと興奮します。
というかそれなりの男でも私は興奮してみせますわ!
ビッチのBはビビアナのBと言われたこの私を
……というわけで、あまりにも度を越した空前絶後超絶怒涛の淫乱な私の周囲の人間関係は、それはもう見事にブレイクしましたわ。
実に内戦一歩手前。殿方ってバカばかりですわね。
顔はお人形さんのように可愛らしいと言われ、オパーイも大きいスタイル抜群な私を取り合う気持ちはわかりますけれど……。
結果的に諸々の責任を背負わされた私は追放されましたとさ。早々。
そんな感じで追放された私は、隣国の森に隠棲することとなりましたの。
わりとバイタリティに溢れた私は、その人里離れた田舎で
実は私って魔法の実力高いですし、何より名門貴族の令嬢として得た知識がとても役に立ちましたの。
というわけでお店は大繁盛。田舎でスローライフ決め込もうと思っていた私も、毎日忙しく楽しく過ごし、近くの村の方々ともすぐに仲良くなりましたわ。
「出て行きなさい! 森の魔女ビビアナ!」
――でもそんな田舎からも私は追放された。
薬師の真似事が怪しい呪い師と勘違いされたから?
いいえ、この田舎の住民もそんな未開な方たちではございませんでした。
理由は簡単。私があまりにも淫乱すぎたから――。
村の若い男と寝た。その父親とも寝た。もちろんその従兄弟とも寝た。薬草を運んでくれる荷運びの男と寝た。訪ねてきた行商人と寝た。いっぱい寝た。
そんなに寝まくったわけですから、これまた当然のように人間関係はブレイク。恐ろしいオーガの様に怒り狂った村の女性たちから、私は命からがら逃げだしましたの。
「ねえアデーレ、次の街にはまだつきませんの?」
「もう少し頑張ってくださいお嬢様。今晩は……野宿かもしれません……」
隣を歩くメイドのアデーレに私は尋ねる。
アデーレは私より少し年上で、追放されて地位も権力もない私になぜかついて来てくれる心優しい女性ですわ。
野宿。野宿かあ……。まあ仕方ありませんわよね。隣村に移住というわけにはいきませんし。噂は伝わっているでしょうし、村に入った瞬間女性たちに私刑とか嫌ですもの。
「あ、見てアデーレ。犬! 犬ですわ!」
「クゥ~ン! アンアン!」
「まあ可愛らしい。うふふ」
林から飛び出してきた可愛い犬を、私は抱きかかえる。
ああ、モフモフ。野犬だと言うのに人懐っこいこと。
「お嬢様、危険です。嚙まれたら病気になるやもしれません」
「それ私に言っていますの? 病気を治すことなら慣れたものですわ」
「……そうでございましたね」
私は治癒とスタミナ回復の光魔法に関しては天下一ですわ。なにせ毎晩のように使っていますから!
「決めましたわ! この犬を飼いましょう。番犬代わりになりますわ」
「良きお考えかと。名前はいかがいたしましょう……? ライアン? それともジョン?」
「ライアンは六人、ジョンに至っては二桁寝たことありますから却下ですわ。名前はそうねえ……バターにしましょう!」
「バター……乳製品ですか。他のお名前をおすすめいたしますが……」
「なによお、チーズがいいなら同じ乳製品のバターでもいいじゃありませんの。よろしくね、バター」
「アンアン!」
モフモフモフモフアンドモフモフ。本当に可愛らしいこと。これからあなたは忠犬バターとして歴史に名を刻むのよ。
「アンッ!」
「あ、バター! お待ちなさい!」
「お嬢様!? お待ちを……!」
それまで大人しくしていましたのに、バターったら突然私の腕を飛び出して森の中へ。当然私も追いかけますし、それを追ってアデーレもついてきます。
バターを追ってぐんぐん森の奥深くへ。もう元の村からも街道からもだいぶ離れた所まで来てしまいましたわ。
「アンアン!」
「やっと追いつきましたわ。バターったらだめじゃありませんの! あら? これは……お屋敷……?」
森の中にぬうっと存在感を放つのは、ずいぶんとまあ荒れ果てた屋敷。どこぞの貴族が使っていたお屋敷かしら……?
「はあはあ、やっと追いつきましたよお嬢様……。これは……廃屋でしょうか?」
「そうだと思いますわ。もう日が暮れますし、ここで夜を明かしましょう」
私とて元は由緒ある貴族の令嬢。野宿はあまり好ましくありませんものね。
玄関へと回り込み、一応ノッカーを叩いてから重厚な扉を開ける。奇妙な事に調度品の類もしっかり残っており、薄暗い以外は立派なものだわ。
「夜を明かすには十分ですわね……ん? ――どなたですか!?」
何か影が動いた気がした。
その影はすすーっと私の方へ近づいてきました。
これは――女の子ですわね。黒髪を三つ編みにした、地味な女の子。
「あの……、失礼いたしましたわ。無人と勘違いしまして。良ければ今晩泊めていただきたいのですが?」
「あの……」
女の子はもじもじとこちらを窺っている。
あら、よく見たら可愛らしい顔立ちですわね。
「はい、なんでしょう?」
「あの、あなたはもしかして淫乱令嬢様ですか?」
――まるで春の花を見つけた少女の笑顔でそう仰いました。
「はあ……? はあ!? あなた初対面の相手に淫乱って失礼じゃありませんの!? そう言うあなただって結構ドスケベそうですわ! あなたみたいな真面目そうな女に限って一度男の上に乗ったら『しゅごい~』とか言って腰を振りまくるのよ!」
「わわっ! ご、ごめんなさい~! ではあなたは淫乱ではない……?」
「いえ、淫乱ですけれど」
それはそう。紛れもない事実よ。
「良かったあ! 私、淫乱令嬢様を探していたんです!」
「はあ、私を……?」
「はい! 私はクロエ、サキュバスです!」
♡♡♡♡♡
――サキュバス。
この世界に住むのは人間だけではありません。深い森に住むエルフ、オーガなどの鬼人、多様な姿の獣人、そして魔族。サキュバスはそんな魔族の一種で、人間などの男の精気を集めると聞きます。
でもこの大陸西方の国家において大多数を占めるのは人間種で、エルフや魔族は珍しいですわ。私だってそう何度も寝たことありませんもの。
「……で、そんなサキュバスのクロエ様はお嬢様を探されていたと?」
「はい! 実は私、まだその……そういうことが未経験で自信がなくて……。そんな途方に暮れていた私は淫乱令嬢ビビアナ様のお噂を聞いて、それならぜひ手ほどきをしてもらおうと!」
「手ほどき?」
「はい、私を
まさか私の淫乱っぷりがサキュバスの耳にまで届いていたとは……。
好きも極めれば芸となる、ですわね。まあ私は単に好き者なんですけれど。
「……わかりましたわ。私の修業は厳しいですわよ?」
「――! じゃあ、私を弟子に!?」
「ええ。クロエ、あなたをどんな高級娼婦よりも巧みにしてみせますわ!」
「お願いします、
キラキラと目を輝かせるクロエは、バターと同じように可愛らしい。
視界の端でアデーレが何か「エ? サキュバスの師匠? エ、ナンデ?」とつぶやきながら頭を抱えている。大丈夫かしら? 殿方と一発決めれば悩みも吹き飛びますわよ?
♡♡♡♡♡
こうして深い森の中、私とクロエ、そしてメイドのアデーレ、三人の――
「アンアン!」
――失礼。バターも加えた三人と一匹の共同生活が始まりましたの。
目指せ誰とでも寝る淫乱。目指せ天下無双のドスケベ。ビビアナズビッチキャンプですわ。
「はあはあ、なんで走るんですかぁ!?」
「淫乱たるもの一に体力二に体力ですわ! 生半可な体力で三日三晩男の上で腰を振れるとお思いで? 複数相手ということもあるのですよ? さあ、あと十周!」
「はいぃ~! べ、勉強になります~!」
♡♡♡♡♡
体力をつければ次は座学――。
「竿にはいくつか種類がありますわ。小さい方から、アスパラ、キュウリ、ニンジン、サツマイモ、ダイコン。私はダイコンが好きですわね」
「お野菜好きなんですね。勉強になります~」
♡♡♡♡♡
多彩な状況にも臨機応変に対応しませんと――。
「はいクロエ、ここで言うべき言葉は!?」
「えーっと、『今までで一番良かった』……?」
「違いますわ! この相手は女性経験が豊富でないタイプ。今まで複数の殿方と寝ていると聞けば萎えるタイプですわ! この場合は『あなたとだから気持ち良かった』と、あなたは唯一無二であるという方向で優越性を感じさせてあげるのです!」
「な、なるほど~! 勉強になります~!」
♡♡♡♡♡
時には私自ら実技指導ですわ――。
「しなだれかかりながら……、下に手を伸ばす!」
「こ、こうですかあ?」
「そうですわ。ただしもっとソフトに。触れるか触れないかで焦らして! そして――」
「ひゃ、ひゃあ! なんで耳の穴を舐めるんですか!?」
「あら、耳の穴を舐めるのはキホンのキですわよ? お尻も気持ちいですからね」
「アンッ!」
「あ、今のはバターの鳴き声ですわ」
「ど、どこに言い訳しているんですか……? 勉強になります~」
♡♡♡♡♡
かくして、三か月に及ぶ厳しい修業は終わりました。
「クロエ、あなたはもう
「し、師匠……!」
「泣くのは山のように精え……成果を出してからですわ。さあ、街に行って一発決めて――いいえ、十発でも二十発でもハメてきなさいな!」
「はい、師匠!」
もう教えることは何もありませんわ。この子はどこに出しても恥ずかしくない淫乱に育ちました♡
クロエは何度もこちらを振り向いて手を振りながら、近くの街へと向かって行きました。
♡♡♡♡♡
「ほうひっはへふへふへ」
「はい……? あのお嬢様、咥えながら喋られてもわからないのですが……」
「これは失礼。もう一ヵ月ですねと私は言いました」
クロエが旅立ってもう一ヵ月になります。あれから特に音沙汰はありませんわ。
私はというと、あの屋敷を修繕してそのまま住んでいます。もちろんアデーレやバターも一緒ですわ。毎日お客様をお迎えして、楽しくやっていますの。
「アンアン!」
「お嬢様……」
椅子に座って読書中のアデーレは何か言いたそうにしているけれど、私は気持ち良い事をしているだけだから関係ありませんわね。
ちなみにアンアン言っているのはバターの鳴き声ですわ。ご承知と思いますけれど。
「んんっ……! はあはあ……、気持ち良かったですわ。アデーレも試してみたら? 良いダイコンにサツマイモ。豊作ですわよ?」
「いつも通り私は遠慮しておきます。お嬢様はベジタリアンでございますね」
アデーレはそう言うと再び本に視線を戻す。
あら、このお野菜は運動もできて健康に良いですのに。
「それじゃあ俺らはこれで」
「お嬢ちゃん良かったぜ。また頼むな」
「ええ、二人とも素晴らしかったですわ。今度はもっとすごい楽しみ方を用意して待っていますわ」
お礼を言って、行商人のダリオと木こりのエラルドが帰っていく。
私は働いていない。けれどこの家に収入が途絶えることはありませんの。なぜかこういった来客が現金含む沢山のお土産を置いてくださるんですわ。
「まったくお嬢様は……あら? 来客でしょうか?」
ノックの音が聞こえて、アデーレが玄関に赴く。
あら、今度はフランコかしら? それともジャン? 私としては十人くらい一緒にでも構いませんけれど。その方が濡れ――いえ、燃えますし。
「お嬢様、早くこちらに!」
「もうなんですの――って貴女、もしかしてクロエですの!?」
「はい、師匠!」
門前に立っていたのはクロエでした。けれどその見た目は一ヵ月前とはまるで違いますわ。
三つ編みはやめて黒い髪を腰まで伸ばして、一目見て上等な品とわかるドレスに身を包んでいる。露出は派手ではありませんけれど、むせかえるような淫靡な匂いを放っている。歩くドスケベ。服を着た性行為。そんな女性に変貌していますわ。
「師匠のおかげで、街中の男という男と寝ることができました!」
「街中の男と! 私も嬉しいですわ!」
「はい……はい!」
二人して感極まり、思わず涙が零れ落ちる。
あんなに頼りなかったのに、こんなに立派な淫乱になって……!
私ったら思わず濡れてしまいますわ。
「それで……その子たちは……?」
クロエの後ろには、彼女と同じ年くらいの少女が十人ほど控えていますわ。みんな可愛らしい顔立ちですけれど、どこか自信がなさそう。
「この子たちは私と同じサキュバスです」
「サキュバス……?」
「はい。私の成功を聞いて、ぜひ師匠の教えを受けたいと」
つまりこの淫乱令嬢ビビアナ・ビアンキを頼って、ドスケベになりに来た淑女達……!
「私を頼ってきた者たちをむげにはできませんわね」
「それじゃあ……!」
「はい。みんな立派な淫乱に教育してみせますわ!」
サキュバスたちが「やったあ!」と喜び、何度もお礼を言う。
うふふ、お礼を言うのは一週間で少なくとも十人と寝た時までとっておきなさいな。
「師匠。師匠の教えを受けたいサキュバスはもっといます。このままサキュバスを育て続ければ、きっと復讐だって……」
「復讐……?」
「はい。師匠を追放したアモリアーナ王国へ復讐したいという気持ちはないのですか?」
「復讐……。そんな気持ちは毛頭ございませんわ。私はただ……もう少しみんな自分の性欲に正直に生きる。それだけでみんなハッピーになると思いますの」
「性欲に正直……! 素晴らしいお考えです。勉強になります~」
「うふふ、復讐心なんて抱いて心をガバガバにしてはいけませんわ。人生は楽しくいきませんと。心の膣を締めていきましょう!」
誰しも心に性欲を持つ。それを開放した者は時に淫乱と呼ばれますわ。
でもいいじゃない。淫乱でいいじゃない。だって私には愛がこんなにも溢れているのだから。気は緩んでも膣は緩むな。心の膣を締めて、永遠に続くビッチロードを歩んでいきますわよ!
♡♡♡♡♡
性愛と魔法の国、性アモリアーナ王国。
かの国では淫魔サキュバスが
かつては非常に道徳的な国として知られた聖アモリアーナという国であったが、勤勉さ、道徳、貞淑という理性は、淫欲と言う本能に勝てないということなのか、いつしか世論は動かされ百年程前に俗に”
男なら一度は行ってみたいと夢見る桃源郷であり、かくいう私もその……非常に堪能させてもらった。国民の幸福度や満足度が常に100パーセントというのもあながち嘘ではないと思える。
この国の頂点に立つのはサキュバスクイーンビビアナ。かつては”淫乱令嬢”と称され、恐るべき力を持つようになった淫魔の女王である。一説によれば彼女は非常にベジタリアンで、特にダイコンが好みであるらしい。
――D・D・エプラー著“大陸西方の諸国家ガイド”より抜粋。
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