第十章 忘れられた記録

第22話

 カレンヴァーザ大陸は大きなすり鉢になっているのだが、上から見た四分の一が欠けた形状をしている。中央に向かってへこんでおり、外側は岩盤がむき出しになっているため外側からは中側がどうなっているかを知る由はない。大陸の規模は五大陸中最小ではあるが、その存在位置や恵まれた魔霊素などの好環境から『天国に最も近い大地』とも言われている、

 リアンカタスに最も近い沿岸は切り立った崖の中に大きな亀裂が入った場所で、おあつらえ向きに人が何人か立ち寄れるように足場が組まれている。昔、ここから有翼種や魔女が出入りするのに使われていた数少ない場所である。

「本当に、よかったの?」

 セランゼールは、その足場に到着してエンリを降ろした際、出発の直前に起こったことに再度確認した。

「フレクタ姉さまを『起こした』ってことで、私の勘は正しかったことがある意味で証明された。本当は、何も問題がないなら彼らもここに呼ぶつもりだったけど、最後の詰めを誤ることだけはしちゃいけないから」

 エンリは、視線を合わせない。いつもの癖だ。セランゼールはそれを短いが濃い付き合いの中でそれを知っている。

「また、一人で背負いこむつもり?」

「思い出すでしょ? 五十年前の、昔の方のログレス。あの時もそうだったじゃない?」

「はぐらかさないで」

 微かに怒気を孕む声。さすがにエンリも、少し緊張した声で話を続けた。

「あの時は、突発的な部分や準備不足もあった。ほころびがあったことは最近の出来事で証明された。これは、私にしかできないことなの」

「曲がりなりにも、彼らは四天の武具を扱える。少なくとも」

「少なくとも、とか、多少は、とかじゃあダメ。逆に、自分の身の丈にあっていない武具に頼ってしまって、大けがを負われでもしたら、私はサングレシア達に申し訳が立たない」

 セランゼールは、エンリをじっと見つめる。過去、エンリをこのカレンヴァーザに見送ったときのような、弱々しい顔ではなかった。自身があるとは言わないが、少なくとも迷いはない。

「……絶対、帰ってきなさいよ」

 エンリは、その言葉に返事をせず、背を向けて内側の崖を飛び降りた。

「エンリ!?」

 セランゼールは大急ぎでエンリの行き先を覗き込むが、その先は森になっており、既にエンリの姿は見えなくなっていた。


     *   *   *


「どちらに向かわれますか?」

 パルティナはエンリを背に乗せて崖を滑り降りていた。足の裏を滑り降りるために適した形に変形させているため速度が出ているが、木や岩などの障害物を避けるだけの余裕はあるようだ。

 エンリはモノクルを操作し、近場に誰かいないかを探る。危険な獣はいないようだが同時に人の気配も近くには無いようで、カチカチと頻繁にレンズの入れ替えを行っているようだ。

「んー、そうね…… とりあえず、ここからだとまっすぐ行けば森から出られるはずだから、もう少し進んで」

「分かりました」

 斜面がなだらかになってきたので速度が落ちてきてはいたが、地上を滑るパルティナの速度に不満はなかった。

 薄暗かった森が徐々に明るさを取り戻したころ、視界が一気に広がった。小石が多い河原に出たようで、弱々しいが小川が流れているのが見えた。

「プーラ川ですね。川下へ行けばチェシス跡に出ます」

 雲より高いこの大地でも、水は湧く。というより、実はこの浮遊大陸単体で水の循環が完結しているのだ。

 薄いがこの大陸の上にも雲はできる。大陸からこぼれた水分も、即座に粒子となってこの大陸の上部へと戻っていく。これらは魔法でもなく、理道にて人工的に作られた現象でもなく、この世界、この大陸における自然現象である。

 しかし、他の大陸のように大量の水分があるわけではないので、急な天候変化による河川の氾濫や崖崩れなどがないため、かなり長い間環境の変化が見られない。ある程度古い地形の記憶でも、役に立つ。

「チェシス…… レニ姉さまを送った村、だったわね」

「『才智の魔女』が暴走させられた件ですね。あるじ様が駆けつけた頃には、生存者は五名程度と……」

「昔はいいわ。でも、一晩過ごすならまだマシかもね」

 パルティナは左へと舵を取り、プーラ川を下る。が、ここで下り坂も緩やかになってきたので、エンリはパルティナから降りる旨を伝えた。

「ありがとう。もう少しで着くだろうし、歩くわ」

「分かりました」

 所々大きな石はあるものの、辺りは大きな草もなく、歩きやすい平野になりつつあった。

 太陽が真上にかかる少し前に、荒れ果てた畑のような場所が目に入ってきた。さらに近づくと、石造りの小さな家がいくつかあるのも分かるようになり、かつて『エンリが滅ぼしたとされる』チェシス村跡に到着した。

 村跡を散策していると、まだなんとか住めそうな小さな家を見つけ、一晩の宿を借りることにする。宿を見つけた二人は、食事の用意のために荒れた畑に作物が自生していないかを確認するため、伸びきった雑草を歩けるまでに均しながら、辺りの元畑に踏み入る。

「さすがにこれだけ時間が経つと、まともな菜物はないかもね」

「あるじ様は、カレンヴァーザで薬草を栽培した経験はないのですか?」

「……私はここの生まれだけど、ここで働いた経験はないわ。魔女の力を得て、かなり早くこの大陸を出たから」

 なんとか食べられそうな豆をいくつかと、川の水を汲んで帰った。

「せめて、何か残ってないかしら」

 エンリは宿として整えた家の中を漁っていると、平たく丸い、小さな道具らしきものを見つけた。

「使えるかしら……」

 エンリがその道具? をこねくり回していると、小さな音と共に、突然道具から火が発せられた。

「魔法ですか? 錬金術ですか?」

「違う違う。理動具りどうぐの一つで、まあ、火おこしをするためのものよ」

「リドーグ?」

「理道技術を用いて…… あ、錬金術でいいわ。元々、ここから始まった技術だからね」

「ケルメードを発つときにもお話しされてましたが、どのような技術だったのですか?」

「理道も錬金術も、根本は『この世のことわり』を理解し、求める結果に導くための技術よ。大きな違いは、理道は誰でも使えるように最適化、小型化をする傾向があるけど、錬金術は複雑、緻密で一部の人しか理解したり使ったりできないけど、多くの人のためになる、っていう点で優れているの」

 そんな話をしていると、エンリのモノクルに突如大きな反応があった。

「あら、すぐ外に何か……」

 エンリほどではないが、それに近い魔霊素の持ち主が突如出現した、という誤報まがいの反応が発生したことに、モノクルの異常を疑ったのだが、確認するために外に出ると、それが真実であることを瞬時に理解した。

 先ほどまで誰もいなかったはずのその荒地に、音もなく馬車と精巧な人の形をした人口生命体ゴーレムが現れ、それはエンリを確認すると、流暢な言葉遣いで話しかけてきたのだ。

「エンリ・ファーブス様でございますね。我らが主がお呼びでございます。今宵は食事もご用意しておりますので、ぜひご来館下さいませ」

「……さすが、足元の出来事は御見通し、ってわけね」


     *   *   *


 ログレスは、セランゼールの家の食堂で頭を抱えて悩んでいた。

 完敗だった。

 ナラルの時の鬼ごっこは、エンリが本気でなかったとは言え、自身が四天の武具を今までよりもずっとうまく扱い、出し抜いたのだとばかり思っていたからだ。

 ところが、魔法一つ唱える隙を与えたばかりに、まるで歩き方を覚えた赤子のように、手も足も出なかった。

 逆に、何故今までそんな強い魔法を使ってこなかったのか。ログレスの疑問は、徐々にエンリの普段の行動に不自然さがなかったか、を考える方へと変わっていった。

「あ、いたいた」

 エンリをカレンヴァーザに送っていったセランゼールは、半日の飛行を終えて戻ってきた。

「おかえりなさいませ。勝手にまたお屋敷を間借りしておりますけど」

「いいわよ、いいわよ。あいつが戻ってくるまで、ゆっくりしていけばいいさ」

 セランゼールは、残された三人それぞれに目をやる。

 ログレスは、自身が負けたことが悔しいのか、悩みに悩んでいるように見える。

 クリエラは特に変化が見られない。というより、彼女は自ら危険へ飛び込むような性格ではないのだろう。エンリはもとより、ログレスがそういった危険なことへ飛び込まなくて済んだことに、安堵しているようにも見える。

 そして、チャイクロだ。

 彼は、ずっと部屋から窓の外を見ている。

 その視線の先は、エンリが向かったカレンヴァーザ大陸だ。

「ねえ」

 唐突に、チャイクロが口を開いた。

「リーリは、あそこへ行ったの?」

 恐らくその質問はセランゼールにしているのだろうと察した本人は、チャイクロに近づき、近くに座ってチャイクロを撫でながら、一番無難な回答をする。

「そうよ。ちょっと用事があるから、って」

「なんの用事?」

「さあ。でも、ちゃんと用事が終わったら戻ってくるわ」

「そしたら、ぼくは、リーリといっしょに、帰れるかな」

「エンリに、ここに残るように、って言われたんじゃあないの?」

 セランゼールは、チャイクロがフィファルナの縁者であるならこの里に住むべきである、と言いたかったんだろうが、まだチャイクロは幼さが残る。育ての親でもあるエンリと共に暮らしたいと思うのは自然なことであろう。

「戻ってきたら、聞いてみましょう」

 セランゼールは、そう言うのが精いっぱいだった。

「そうだ、セランゼール殿! エンリ殿が最後に唱えた魔法がどんなものかご存知ではないか?」

 唐突に、ログレスがセランゼールに話を振る。話題の中心はどうやら自分が敗北した原因と確信したであろうあの魔法に焦点を定めたようだ。

「ん? いいえ。私は魔女でもないし、魔法に詳しいわけでもないし……」

 と、そこである閃きがセランゼールに舞い降りた。

「そうだ、せっかくだから図書館に行かない?」

「図書館? 魔法について詳しい本でもあるということか?」

「それは行ってみないと分からないけど、少なくともこのまま全員ここで腐ってるくらいなら、気分転換にもなるんじゃあない?」

 それなら、と三人はセランゼールに連れられて、里の奥にある図書館へと向かった。

 リアンカタスはエンリが倒れている間もあちこち歩き回ってはいたが、案内された図書館は、里のどの建物よりも大きく、図書館と言うよりは中規模な城、という印象だった。そのため、中へ入ろうという発想はなく、案内されて初めて図書館であると認識したほどだった。

「この建物、図書館だったんですね…… 大きすぎるんですけど」

「もともとはオルトゥーラにあった本をここに持ってきただけだからね。規模だけは大きいのさ」

「む? 何故オルトゥーラにあった本を、わざわざここへ持ち込んだのだ?」

「何故も何も、この里とケルメードの住人は、もともとカレンヴァーザの住人さ。とは言っても、百年単位の大昔からオルトゥーラと交流があるっていうのが根拠で、本当にそうかは分からないんだけどさ。まあ、そもそも図書館に置かれてる本は王魔戦争の折に国から逃げてきた人が持ち込んできただけで、大した理由はないんだけど」

「いや、魔女を輩出している国の本なら、何かきっかけをつかめるやもしれん!」

 ログレスはそれだけ言うと、微かな希望にすがるかの如く、図書館の扉をくぐっていった。それにクリエラも続いていく。

「……ねえ」

 チャイクロが、上目使いでセランゼールを見上げる。

「どうしたの?」

「……本、よんでくれる?」

 どうやら、まだ文字が読めないようだ。

「いいわよ。どれを読んでほしい?」

「やった! じゃあね、じゃあね」

 セランゼールよりも先に図書館に入るも、ちゃんと付いてきているか確認するために振り向きながら入っていくチャイクロを見ながら、自分の子供たちの小さい頃を思い出して、少し懐かしさが込み上げてきた。


     *   *   *


 大きな両開きの扉を開いて中に入ると、まず大きなロビーに出た。

 ただ大きいだけではなく、休憩用の椅子が無数にあり、それらの椅子の右側には小さな机がつき出している。要するに、読書をするための椅子、ということだ。

 わざと大きな机に椅子を置かないのは、読書以外の用途で使われないようにするためである。

 それらを横目に奥へと進む。そこでは、図書館の中では書士と思われる人が忙しそうに本を運んでいる。奥に空の台車を運び込んでは、また山のように積まれた台車を転がして奥へと向かう。どうやらまだまだ整理中のようだ。

 正面の通路、というより本棚によって通路と化した部屋を進むと、円形の本棚が目に入る。ぐるりと表紙を正面に置くタイプの本棚には、絵本や教育本が並んでいる。『魔女まじょのオキテ』、『そらのだいちのひみつ』、『やさしい理道りどう』……

 ログレスはその本棚を超えて、さらに奥へと足を向ける。

(魔法についての本はどこかにないか……?)

 背表紙の装丁がどんどんと暗く、古くなる中で、気になる本を見つける。〝魔法の仕組みと魔法言語の圧縮〟と書かれている。パラパラと数ペ―ジめくってみた。


『魔法とは、自らの発声音に自身の魔霊素を込め、界域を超越・干渉し、当人の想定した状態を引き起こす〝現象〟である。

 効果は一度の音に込めることができる魔霊素の量で決まることが多く、同じ魔法であっても魔霊素の絶対量によっては打ち消されたり、逆に強化されてしまうこともある。

 その音声は、特定の力場において短くすることが可能であることが、魔女の唱える魔法の仕組みを通じて判明している。それが〝圧縮言語〟である。利点は、長い魔法音声を短くすることができる速効性と、精霊魔法のように場所の影響を受けず、また理道のように前準備が必要ないことが挙げられる。逆に改善点として、使用者の魔霊素が、唱える魔法音の量に比例して余分に必要であること。力場の構築が必要と、ある意味で普通の人間では解消することは難しい。だが、これは魔女であれば簡単に達成が可能なのだ。

 まず、彼女たちは魔法を使う際、自らの魔霊素以外に守り子の魔霊素を用いることが可能である。守り子とは、彼女たちの魂に連結された別の界域に存在する、神に近しい存在である。ただし、守り子たちはこの現界域で存在し続けるためにも魔女の魔霊素を必要としているため、魔法を使う機会が少ない魔女は、むしろ常に魔霊素を守り子に供給し続けることになってしまうため、あまり大きな恩恵ではない。

 次に力場であるが、これがいわゆる〝他界域に干渉済みの空間〟とも言いかえることができるだろう。つまり、常に他界域に存在する守り子と繋がっている魔女は、この力場の準備を常にしていることになるので、まさに魔女は魔法を行使する存在として生まれてきたものであるといえるだろう』


(ふむ…… なら、魔女が魔法を使うという行為はむしろ自然なことであって、エンリ殿のように魔法を使ったがために魔霊素のバランスが崩れてしまうというのは、よほど何かきっかけでもないなら、起こることがないはず、ということになるが)

 別の理由かもしれない、と思い直したログレスは、その本を戻し、別の背表紙へと目を滑らせた。

 だが、本棚をいくつか跨いだものの、思ったような本には出会えず、一度そのコーナーから離れ、休憩がてらロビー近くまで戻り、椅子に座る。

「……まあ、やみくもにヒントを探しているようでは、いつ見つかるか分かったものではないが」

 知りたいことは、たくさんある。だが、情報だけが漠然とあるこの図書館でそれらすべてを一度に手に入れることは不可能だ。

(まず、何を知りたい?)

 魔女とは何か?

 何故、魔法が存在するのか?

 エンリについて旅に出た理由か?

 錬金術、理道が生まれた理由か?

(……いや、それは確かに知りたいが、今知るべきものではないはず) 

 むしろ、今自分がエンリと一緒にいない理由。

 何故、彼女が出発する前にわざわざ諦めさせるような事をしたのか。

 無理にでもついて行くことはできたはず、なのに。

(もしかしたら、エンリ殿は、我ならあの妨害を乗り越え、捕まえることができるかもしれぬ、と信じていたのかもしれぬ)

 微かには、感じていた疑問の答え。

 しかし、自分はそれに答えることができなかった。

 何が足りなかったのか、エンリはそれにすら答えず、進んでしまった。

 きっとそれが何より辛かったのかもしれない。何より悔しかったのかもしれない。

 だから、自分はネオントラムに戻らず、馬鹿正直に待つこともせず、足掻こうとしている。前に進もうとしている。何かを掴みたいと思っている。

 ログレスは、とりあえず別の本棚へ向かうために、席を立った。

 今度は別の通路側から本棚へ入ると、そこは未整理の本が平積みされたままの乱雑な状態のままの場所に出た。

「……広い弊害か、はたまた別の理由か、人が足りていないというのは間違いないのだろうが」

 本を見ると、専門書なのか読めない言語で書かれているものも多く、ざっと見たところ特に読みたくなるような本はなかった。

(他をあたるか)

「きゃっ!」

 本の山を避けるために大きく体を逸らすと、後ろから来た誰かに当たってしまった。

「おぁ、済まぬ、よそ見をしていた」

 ログレスが振り返ると、自分より少し小さい女性書士が、恐らくこの本の山に新しい峰を築くべく持ち込んだ本にあたったようだ。

「い、いえ。大丈夫です」

 ぶつかった時に本を落としたのか、手で持っていたであろう本が何冊か床に散乱していた。それとは別にまだ手には何冊か持っている。

「あ、拾うのを手伝おうぞ」

 さっとしゃがみ込み、落とした本を拾っていく。

(『オルトゥーラの歴史 第百七十二巻』『理道の発展の歴史』『魔霊素技術の体系』…… 普段なら絶対見向きもせぬようなタイトルばかりだ)

 重ねていくうちに、ログレスは表紙に何もない本が混ざっているのを見つけた。しかもよく見ると、どうやら手書きで書かれているように見えた。

「これは…… 本か?」

「あ、それは、誰かが書いた本なんですけど、著者も書かれてないし途中で終わってるし、内容も、ちょっと……」

 ログレスは、その手書きの本をパラパラと見る。

(き、汚い字だ…… が)

 とても読めるものではないが、その筆跡を、ログレスは知っていた。

「済まぬ、この本を借りることはできるか?」

「え、いえ、むしろ解読に難航してたらしく、結局処分が決まったところだったので、欲しいのでしたら持っていっていただいて構いませんよ」

「それは助かる! ……ところで、魔法について詳しく紹介している本も探しておるのだが、無いだろうか?」

「魔法についてですか? 体系はどのような?」

「たいけい、とは?」

「え、ええと、例えば炎を扱う魔法であるとか、皮膚を強くする魔法であるとか……」

「そうだな、例えば、人の動きを緩慢にするとか、空気の壁を作るとか?」

「うーん、行動干渉系でしょうかね……」

 そう言うと、書士の女性はとことこと館内を歩き出し、ある本の前で止まる。本棚に指を滑らせると、三、四冊ほど手に取ってログレスに渡す。

「これとこれが、空間制御系で、こっちとそれが動作干渉系です」

「おお、助かる! じっくり読ませてもらうぞ」

 目的の本も見つかったログレスは、早速机について本を読み始めた。

(随分変わった方でしたね……)

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