いつも抱きしめて寝ていたぬいぐるみが、不定期に美少女化するようになった 〜相変わらず抱き枕にさせてもらってます〜

プル・メープル

プロローグ

 島原しまばら 暁斗あきとには昔から大切にしているものがあった。産まれた時にお祝いで貰った黒ネコのぬいぐるみだ。

 朝ごはんを食べる時、家でゴロゴロする時、もちろん眠る時も。外出時やトイレ・お風呂に入る時以外は肌身離さず持っているほど、彼はそのぬいぐるみが大好きだった。


「うへへ、ねね子〜♪」


 『ねね子』というのはぬいぐるみに付けた名前で、ネコだからねね子という幼いなりに捻り出した単純なネーミングである。

 ぬいぐるみ好きなせいでせっかく出来た彼女にも振られ、寝て起きても治らない傷心を癒して欲しいとばかりにねね子に抱きついたとある朝。


「にゃにゃっ?! く、苦しいにゃ!」


 突然腕の中から聞こえた声に寝ぼけ眼を擦ってみると、目の前にいたのはねね子ではなく、ねね子と同じ黒い毛の女の子。

 それも何故か服を着ていなくて、初めて見る同世代(?)の異性の体を前に、暁斗は盛大に鼻血を出して夢の世界へと戻って行った。


 これが暁斗とぬいぐるみ(擬人化)の初対面である。

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