多数派によってブルマになる

お題：日本式の多数派 制限時間：15分

多数派によってブルマになる

　多数派の意見というのはかなり徹底したものだ。ボクの通ってる中学校もその意見にならった運用がされる。

　いわゆる男の娘というか、男装した女子。

『かわいい男の子がいないから』というどうしようもない法案が政治家の多数派によって、可決されてしまったのが原因だ。そのために日本の各クラスには男装役の女子というのが存在してる。

　ボクとしては、

「……ブルマいいのになぁ」

　教室で体操服に着替えてポツリと漏れる声。

「はぁ？　あんた下着姿で体育やれっていうの？」

「履いてるじゃん。誰も下着でやれっていってないよ」

　思わずつぶやいた言葉に幼馴染が激おこだった。いつも静かな分怖い。下着姿で怒らなくてもいいじゃない。『かわいいピンクと白のストライプが台無しだよ？』とは口が裂けても言えない。

「じゃぁあんた履きなさいよ」

「え？　それは需要ないと思うけど？」

「あんただけずるいのよ。どうして他の女子はブルマ着用なの……」

　教室内の女子が一斉にボクをみる。

「えっと……それはほら国で決められた女子は男性の格好をするって」

「信じられない、ほんとこの国おかしい」

　多数が頷く。

　けれど、これは国が決めた法律にある正しいこと。正しい……はず。

「ほんとあんたはいいよね」

「ほ、ほら、でも、ボクもスク水は履いてるし？」

　ん、着てるっていうのかな？

「そっちは選択肢制じゃない！　だいたいあんただけよ、着てるのは」

　そうだった。

　クラスの女子たちは華やかだけど、露出が少ない水着を履いてた。スク水を履いてるのはボクぐらいだ。

「それに男性の格好をするなら、ほんとはあんた上半身裸じゃないといけないわよね？」

「え、えっとそれはとっても恥ずかしいのだけど、露出狂でもないし」

　膨らみがないとはいえ、れっきとした女の子だ。男子が見慣れた胸の形はしてない。

「それとブルマは同じことなの」

「そうなのかなぁ。機能的には優秀だと思うよ？　ハーフパンツってとっても動きにくいよ」

「知らないわよ。履いたことないんだから！」

　そりゃそうだ。

「わかったから、ここまでにしよう。ボクも悪かったよ」

「そう。帰りにパフェおごってくれたら許してあげるわ」

　うんうんと頷くと、クラスの女子たちから視線を浴びた。

　えっ……これって全員おごらないといけないってこと！？