1-5.ゴングを鳴らせ!
GM さて、それじゃあ明けて翌日だ。情報共有は夜の間にしたって形で大丈夫。で、朝日が差し込むサザンの部屋にキミたちは呼び出される。どうやらサザンとスイートピーは、あのあとしっかり話をしたみたいだね。どういう会話があったかは想像に任せるけど、スイートピーは幸せそうに笑っていて、サザンは決意に満ちた表情をしている。
サザン 「みなさん……スイートピーをここまで送り届けていただき、ありがとうございました。そして、申し訳ありません。ここまでお手数をかけてしまいましたが、やはり私はスイートピーと別れたくはない……報酬はもちろん支払わせていただきますが、これからもあの屋敷でスイートピーと一緒に暮らそうと思います」
ユイ 「うんうん、いい顔になったね~。それがいちばんだよー」と言って笑ってるかな~。
リーゼ 「ふふっ、気にする必要はありませんわ。困っている人の力になり、問題を解決するのが冒険者ですもの」
ルジェ 「……親と子は、やはり一緒に暮らすのがいいデス」
サイネ 「報酬さえもらえるなら……それで構わない……」
GM ふーん……(ニヤニヤ)
サイネ くっ……GMのあたりが強い……。
ユイ あとの問題はサザンさんに声をかけたアルボルだね~。アタシはそこまで倒すことを含めて依頼ってことにしたいけど、みんなはどうー?
サイネ 正直、ここまでの道中は大したことがなかった……そのくらいのサービスはしても構わない……。
リーゼ ですわね。流れ的には再依頼、みたいな形で来そうですけれど、ここはわたくしたちから言い出すべきでしょう。
ルジェ 蛮族死すべし……慈悲はありマセン。
リーゼの言う通り、再依頼という形でサザンからアルボルの撃退を頼むつもりだった。冒険者たちから自発的にそう言ってくれたのはとてもうれしい。やっぱりNPCを大切にしてもらえるとGMとしてとてもありがたいね。
ユイ 「サザンさん、そのアルボルさんを倒すところまで含めて依頼、ってことでいいよねー?」
サザン 「よろしいのですか……?」
リーゼ 「構いませんわ。力なき者を助ける力になる、それこそが力を持つべき者の責務ですもの!」
サイネ 「妖精たちも言っている……まだまだ遊び足りないと……」
ルジェ 「昨夜も言いマシタが、私は蛮族を決して許しマセン。この手で討てるのならば、それが喜びデス」
サザン 「ありがとうございます……! この御礼は必ず……!」
GM と、いうところで。スイートピーにはいったんお留守番をしてもらって、サザンを囮にアルボルを誘い出す……っていう作戦をサザンは提案するけど、どうかな。アルボルを探すところまでやろうと思っていたけど、ぶっちゃけリアル時間がね……。
ユイ そういうことならアタシはその作戦で大丈夫だよ~。サザンが危険にさらされないようにっていうのと、万が一にもスイートピーちゃんが狙われることがないように対策だけしておきたいけどー。
サイネ スイートピーに関しては、私のコネを使って安全な場所にいさせる……これなら安全なはず。
GM あ、いや、あくまでリアル時間の都合による提案だし、そんなみんなが戦っている最中にスイートピーがさらわれるなんて展開にはしないよ?
サイネ そこは信頼している……あくまでキャラクターとしての配慮……。
リーゼ ま、単発想定のセッションみたいですし、そこの心配はしていませんわ。これが続編ありのセッションでしたら真っ先に疑いますけれど。
ルジェ 心を折るような展開に定評がありマスからね、GMは。
おかしいなぁ。ちょっとプレイヤーの心に訴えかけて情動を揺さぶろうとしているだけなんだけど……。
GM それじゃあ時計の針を少し進めて、フレジア森林国付近の森のなか。隠れるキミたちに見守られながら、サザンがひとり、歩いている。そんなサザンのもとに、2体のレッサーオーガを引き連れたアルボルが現れる。肌は雪のように白く、髪は薄緑色で、額や全身に目のような紋様がいくつも浮かんでいる。
ユイ うーん、ほかに隠れているかどうか、っていうか確実に隠れていると思うだけど、どうしようかな~。【バリアドサークル】を使えば誰がいるかとかわかるんだけど、相手にもバレるんだよね~。
リーゼ まぁ、使う必要もないと思いますわ。ところでGM、事前に強化などをかけておくのは……。
GM それはなしかなー。相手も周囲を警戒しているし、呪文唱えようとしたらすぐに戦闘に入ると思って。
リーゼ わかりましたわ。
アルボル 「アハハッ、こんにちはぁ、サザン殿。娘を救うため、ワタシたちと手を組む覚悟……決めてくださったかしらぁ?」
サザン 「断れば、僕を殺すんだろう?」
アルボル 「それはもちろん――当たり前よぉ。あなたが死ねば、娘さん、とっても悲しむものねぇ?」
サザン 「以前の僕なら、その言葉に頷いていただろうね……でも、僕は教えてもらった。子に恥じない姿を見せることも、親の義務だと!」
アルボル 「あらぁ、残念だわぁ……それじゃああなたには死んでもらうしかないわねぇ」
GM と、そんなところでキミたちに登場してもらおうかな。
ユイ じゃあアタシは木の上からシュタッと降りてくる感じで~。
サイネ 一陣の風が吹くと、いつの間にかそこに私がいる……。
リーゼ えっ、えっ、そういう流れですの? わたくしは普通に茂みから出ますわよ。
ルジェ リーゼとは反対方向の茂みから異貌化しつつ登場しマス。あ、これはあくまで演出なので、実際の異貌化はちゃんと補助動作でやりマス。
GM うん、そんなキミたちの姿を見て、アルボルの女性は「やっぱり隠れていたわねぇ……」と言って笑みを浮かべると、指笛を吹く。と、同時に追加で2体のレッサーオーガがどかどかと現れますね。
サイネ どかどか……。
GM あ、そうだ。そこでアルボルの女性はルジェを見てちょっとおもしろそうな表情をするよ。
ルジェ む……?
アルボル 「あらぁ、その見た目……もしかしてアンタ、前に蛮族に囚われてなかったかしらぁ?」
ルジェ 「なっ……! なぜそれを!」と、憤怒とともに動揺を露わにしマス。そして中の人も突然の設定巻き取りにビックリしていマス。
アルボル 「アハッ、やっぱりねぇ。見たことがあると思ったのよぉ。アンタを使役していたアルボル、ワタシの知り合いでねぇ……。ドジ踏んで冒険者に討たれたって聞いてたけど、そっかぁ、あの施設の生き残りがいたのねぇ。ねぇ、その鎧の下にはどーんな傷痕が刻まれてるのかしらぁ」
ルジェ 「……言いたいことは、それだけデスか」と、殺意をみなぎらせて目の前のアルボルを見据えマス。
ユイ んー、そういうことなら、アタシは一歩前に出て、普段は浮かべない冷たい目を向けるかな~。「アタシたちの大切な仲間に酷い言葉を向けるなんて、覚悟はできてるよねー?」
サイネ では、私も……「お前は、気に入らない……上から目線が許されるのは、私だけ……」と言って、妖精たちの力を漂わせる……。
リーゼ 「神の名のもとに、そして、友のために、アナタをここで倒しますわ」と、続けますわよ。
ルジェ 「……っ」それは、胸がいっぱいになって何も言えないデスね……。ありがとうございマス。
アルボル 「フフ、こわぁい。まぁ少しはやるようだけどぉ……ワタシが特別に躾けたレッサーオーガたちとこの妖精魔法で、アンタたちを消し炭にしてあげるわぁ。そうしたら、サザンさんも考えを改めてくれるかもしれないし……ね?」
GM と、いうところでラストバトル開始だー!
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