『archeto The deetoru』リアルチート勢(笑)くんが行くVRMMO

モーリス

第1話プロローグ

「長いよぅ、暑いよぅ」


俺、諸星 雪乃は後ろにも前にも人。

行列の中に居た。とあるゲームを買う為だ。

かれこれ約3時間位並んでいる。

そして、後5人程が 居なくなったら買える!


5人が限定デザインのVRゴーグル、アルカ・テンションアプリカード付きを買い、雪乃が買う──はずが店頭にはアルカ・テンションアプリカード付きの姿が見当たらなかった。


「皆様!とても長い時間並んで下さいましたが、アルカ・テンションは売り切れになってしまいました。限定デザインはもう販売しませんが明日からまた通常デザインを販売致しますのでまたご来店お待ちしております」


このお店の定員さんが大声で言う。

「そ、そんな……!」

後ろからも「え?」「ふざけんな!」「どれくらい並んだんか知っているの?!」

等の声が聞こえる。


定員さんは謝るが、それでも声は止まない。


雪乃は勇気を出して聞いてみる、まだ在庫はありませんか? と。


「確認して参ります。少々お待ち下さい」


定員さんはお店の奥に走っていく。

少しの間待っていると、また定員さんがやってくる。


「5万人目のお客様ということで、本当はお渡しするつもりはなかったのですが、直感ですが大丈夫でしょう。いや、約束くらいはしましょう。お客様、この機器を受け取ってからは自己責任でよろしいですか?」


「はい!」


なんだ?この感じ。

なんかヤバそうだけど、未知が溢れてそうだ!やっぱりこれは受け取らないとダメでしょう。


「じゃあお金を払いますね」


「いえ、これは無料でいいですよ」


「え?いいんですか?では遠慮なく」


雪乃は限定デザインの白色とは真逆の黒色のVRゴーグルを受け取る。


「あ、ゲームの方の代金は支払って貰いますよ」


「勿論。はいどうぞ」


「毎度ありがとうございました!」


雪乃は定員さんに御礼を言い、家に帰った。

このVRゴーグルを持って帰る途中、行列の横を通ると、人を殺せそうなほど鋭い視線が雪乃に刺されていたのは、言うまでもないが。


自分の部屋に入り設定を済ませてから、VRゴーグルに付いていた、アプリカードに書かれていた、ダウンロードコードをVRを装着し、アプリストアで入力する。

するとホーム画面に『archeto The deetoru 』という文字とアイコンが表示された。


そのアイコンを押す、前に公式サイトを見ておく。端から端まで全てに目を通したが、特に目を引く説明があった。


『呪界

呪いが世界に満ち溢れ、蝕み、文明を滅ぼしてしまった世界。人外の者が闊歩する。最初にこの世界を選んだ者は自ら異形になり、大地に降り立つ。呪いに満たされた道具や武器、防具でリスクを負いながらも、君たちは生きていくのだ!

※この世界に降り立つことを決めたものだけは、ノーリスクでのやり直しをすることができます』


下には目が3つの人や腕が4つの人などが紹介されていた。


「へぇ、プレイヤーが魔物のようになれるんだぁ。ん?やり直し?」


それくらいやばいのだろうか。

普通の人ならこれで察して他の世界に行くだろう。だが、これには未知が溢れている気がした。


「よし、これにしよう」


『archeto The detoru』直訳すると万物の存在理由。

略称はATD。

1つ目のロゴのゲーム会社が運営するVRMMOである。


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