ある主の決断

「除霊した方がいいよ。」


「じょっ除霊?」

「何処に行けば良いんですか?」


「僕が拝んであげるよ。前の時みたいに。。。」


「・・・。」

「前?。。。」

「あっ!外国人の!あ~。」


「一万円持っている?」


「あ~。あります!」


つい、1時間前、2600円弱がやっとこさ入っていたこの財布。

たまたま、会社の帰りにお給料を頂き、ふっさふさ。

今日は、頂いたお金を何度も何度も数え続け、今月のお給料は500万円だったと、脳みそに思い込ませ、お金の臭い、肌触り、見た目を全身で体感して。


「今月も、お給料500万円。ハァ~。。。。お金持ち。」

「幸せ~。ありがとう~。」


と、妄想しようと、計画していたのに、、、。

ここで一万円手放す?

とか、そんな躊躇もいとわず私は


そそくさと給料袋から1万円を取り出し机の上に置いた。


「この袋に入れて。」


出された袋は赤熨斗あかのし蝶々結び。

(うん?蝶々は繰り返されるから、ここは蝶々はダメじゃん!?)

(使うなら赤熨斗あかのし、、、。)

内心、突っ込みを入れながら、言葉に出せず。。。

袋に入れようとしたら、、。


「袋に名前を書いて。」


そして、手渡された袋に名前を書いて、

今日先ほどからたまたま存在する1万円を袋に入れ手渡した。


(大金。。。)


そう思いながらも、自分にぺっとりついてしまった。

お姉さんの生き霊は、早めに取っておきたい。

ほんの3秒ほどの躊躇ちゅうちょと、安心感を得た。

「お金は抽象的なもの。」と耳にしたことはあるが、こんな話を誰かにしたら、

「騙されているんじゃない?」

「なにそんな大金払っちゃっているの?」

と、怒られるかもしれない。

いやきっと怒られるだろう。


お金は抽象的なもの。その存在を認めた途端、存在効果を発揮する。

認めるまでは、ただのものである。

(抽象的。認めた時、そのもの自体に価値が存在する。確か。確かに。その通りでございます。。。)


お金を貯めたいと溢した主は、対した興味もないオンライン講演会に参加して、講演会後のシェア会にさんかして、ペットリと、生き霊付いて大切な大枚をはたく。バカである。

救いようのないバカである。こんな主を、じっと見守る。「またやってるよ~。ほんと、成長無いな。。。」

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