第二幕

スポットライトと製造工場


すごいと思ってもらえるスポットライト

あこがれてもらえるスポットライト


私はスポットライトをあびる


私にスポットライトを向けるのは周りの人

周りの人は、私のためにスポットライトをつくる製造工場

私は製造工場でできたスポットライトをあびせてもらう


スポットライトの光の中にいる私


製造工場は次々にスポットライトをつくる

「すごい」と「あこがれ」だけじゃなくて

そんけい

たよりにできる

すごい

がんばりや……

たくさんつくる


私は常に光の中


工場は

スポットライトをつくりながら

私のすきをねらう

すきを見つけたら

スポットライトをこわす

私にばれないように

次々にスポットライトをこわしていく

自分でつくったスポットライトを

つくった時以上の笑顔で

こわす

元々つくるつもりはなかった

とでもいうように


私にばれないように

スポットライトをこわしながら

工場はスポットライトをつくっていく


そして工場はウソのスポットライトをつくる


「あこがれ」をこわす

「あこがれ」のウソをつくる

そのくりかえし


私はスポットライトの光をあびながら

ウソをおそれる

ウソをつくった工場をにくむ


私はウソのスポットライトとホントのスポットライトの光の中


私は光なんかいらない

あびせるならホントのスポットライトだけにしてほしい


でもがまんする

そして

わざと

工場に感謝するフリをする


その「感謝」は

私がつくったウソのスポットライトとして

私という工場がつくったウソとして

相手をあびせる


相手もまたウソをつくらされる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る