否応なしに夏の残り香

ジュン

第1話

かなしみの夏にいつも誘われる


いまこの一時も


蝉が鳴いている


慟哭が聞こえる


ああ


なんということでしょう


晩夏に着く前だというのに


残り火の夏は


太陽の仕業か


夏の灰が落ちる


もう一度


夏の復活を嘆願するも


木漏れ日のあなたは


縫うように進みあらわれた


ゆっくりと落ちる木の葉に抗うように


夏の風で憤っている


これも戦いか


良いことなのかもしれない


いよいよ


間近に


祈りの勝敗が


やって来つつある


そんな夏が


いま


この一時


強く感じられる

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否応なしに夏の残り香 ジュン @mizukubo

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