右目

ぺらねこ(゚、 。 7ノ

短編

 私の体からこんなに甘い声が出るとは思っていなかった。他人に触られるだけで、こんなに気持ちがいいなんて思わなかった。知らなかった。

 私に価値はない。そんなことわかってる。いちばんは取れない。ちょっとでもできる人に囲まれると、私の価値は無価値になる。勉強でも恋愛でも愛嬌でもだ。


 彼女に出会ったのはTwitter。彼女とのリプライは何故か続き、DMも不快なところはなかった。

 どうやら普段は会社づとめをしていて、まだ若いのに頑張っているようだ。お金の使い方もしっかりしていて、あるだけ使ってしまう私とは大違い。なのに私を慕ってくれていた。

 私の発言は虚飾に紛れている。貼り付けた写真も加工したものばかり。それでも彼女はだいぶ年上の私のことをかわいがってくれるし、言葉の端々に慈しみをにじませた文章を送ってくる。

 この人なら、セックスしてもいいかもしれない。そう思い始めるまで、さほど時間はかからなかった。性に飢えていたというよりも、私の体を任せても安心できそう。そんな気持ちが強かった。


 実を言うと、私はMtFのトランスだ。そして、3年前に手酷いパワハラとセクハラで仕事を辞め、実家に帰省している。食事ができず、片付けや入浴もできず、つまり生活ができなくなったからだ。

 MtFの多くは長年の身体違和感と差別によって、メンタルを病むことが多い。ジェンダーロールに過剰適応しようとして、頑張りすぎてしまう。

 若いうちはまだいいが、気力で体が動かなくなってきたときに、心が折れてしまう。私は典型的なそのパターンだった。


 こんなめんどくさい汚い可愛くもない人間を好むやつがいるだろうか? いないだろうと思っていた。Twitterでは必死に絶望を隠して、なんとか明るく振る舞っていた。

 それが彼女を誤解させてしまったのかもしれない。しかし、その誤解を利用してでも、人肌のぬくもりを感じたくなるほど、私は世界に、寂しさに絶望していた。


【右目】続きはエロいのでお引越ししました。

頑張ればアルフォポリスで読めるかもね。

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右目 ぺらねこ(゚、 。 7ノ @peraneko

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