大きな彼女と小さな僕と

マイルドな味わい

あらすじ(ネタバレを含むため、閲覧要注意)

 低身長男子、片桐かたぎりゆうには、気になるクラスメイトがいた。


 彼女の名前は小峰こみね明日香あすか

 ボーイッシュで女子人気が高く、「王子様」の異名を意のままにする。なにより目を引くのは185㎝という規格外の身長だ。女子なのに背が高くかっこいい彼女に、裕は恋愛感情とまではいかずとも関心を抱いていた。

 だがある日、裕は明日香の秘密を知ってしまう。



「わたしは王子様なんかじゃありません」



 明日香は高身長をからかわれていた過去のトラウマから、無理に王子様キャラを演じていたのだ。

 普段のクールな振る舞いとは違った乙女チックな明日香の素顔を知り、次第に彼女に惹かれていく裕。一方明日香も、自身を女子として尊重してくれる裕に好意を寄せていく。


 そうした中、クラスの文化祭での出し物が演劇に決まった。

 白雪姫をベースにした劇で、王子役を明日香が、姫役を裕が務めることになる。

 チビだけど男らしくなりたい裕。女の子らしい生き方に憧れる明日香。

 望まない役に抜擢され一時は不満を口にするも、なんだかんだ己の役をまっとうする二人。本番に向けて練習をしたり、一緒にプロの演劇を見に行ったりと次第に仲を深めていく。


 迎えた文化祭当日。

 お化け屋敷に有志バンドといった文化祭デートを通じて、裕と明日香はますます恋心を募らせる。

 彼らが演じた劇も、トラブルに見舞われはしたがなんとか大団円で幕を閉じた。

 そしてついに、裕は秘めていた思いを明日香に告げる。



「僕は! かっこいいところとか、可愛いところとか、そういうの全部ひっくるめて、一人の女の子として! 小峰のことが! 大好きなんだ!」



 こうして、二人は付き合い始めることとなった。

 相変わらず目線の高さは合わないし、並んで歩けば凸凹とバランスが悪い。

 身長差は実に30㎝。

 その隔たりは到底覆しようがない。

 お互いに一生手の届かない遠い存在だと思っていた。

 だけど――

 心の距離は、触れ合えるほど縮まったと言えるだろう。

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