10. タイズが少しツヤツヤしてる

 6ラウンド(1分)の戦闘の末、ついにバスラが倒れた。


タイズ:「ふう……戦闘終了です。お怪我はないですかジルベルト様?」


ジルベルト:「見ての通り大丈夫さ!」


タイズ:「それはなによりでございます」


--

 路地裏に倒れたバスラはもう動くことができないようだ。変身機能も解除されて元のバレンドルンの姿があらわになっている。


「スクルー……タ……スク……ルー…………」


 やがて機能を完全に停止し、バスラの500年は終わりを迎えた。

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ジルベルト:「敵ではあったが、それも不幸な事故のようなものだ。ティダン様のご加護を祈ろう」


GM:タイズから戦利品を剥ぎ取る時間はありませんが、アイテム「変身ユニット」をひとつ獲得することができます


===

【変身ユニット】

 バスラの変身機能を司っていたユニット。

 補助動作で起動すると男装したバスラの姿のホログラムが浮かび上がる。しかしそのホログラムが動いたり別の姿に変身することはない。

===


タイズ:「一応回収しておきましょう。マグナル博士に渡せば役に立ちそうです」


ジルベルト:「これからどうしようか。バスラが陽動ならば本命のスクルータを探し出さなければならないのだが……」


GM:ではお二人の戦闘の音を聞きつけて憲兵たちがやってきます。そしてその中にミカリの姿もあります


ジルベルト:「ミカリ殿!?」


ミカリ(GM):「ジルベルト様!タイズ様!」


 慌てた様子で駆け寄ってくるミカリ。どうやら先ほどのタイズのように憲兵たちに取り囲まれ、事情を説明して一緒に連れてこられたらしい。まだ倉庫で浴びた血で汚れているのだから無理もないだろう。


ミカリ(GM):「はあ……はあ……やっとお二人に会えました」


タイズ:「落ち着いてください。どうされたのですか?」


ミカリ(GM):「博士から伝言を預かってきました。スクルータはすでにルーニャ様がいるグランドターミナル駅に到着しています!」


--

 マグナルはスクルータの信号を解析し、バスラとは別ルートでグランドターミナル駅に向かったことを突き止めた。ジルベルトの予想通りバスラは陽動だったのだ!


 ジルベルトは憲兵たちに事情を説明し、憲兵の馬車に乗ってグランドターミナル駅へ急ぐ。

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GM:馬車の中で回復してもいいですよ


タイズ:HP変換でHPを26減らしMPを全回復します


ジルベルト:では「ヒーリングポーション+1」をタイズにあげよう


タイズ:ありがたく使わせていただきます

> HP回復: 威力20+1+1(レンジャー)+3(知力ボーナス)→ 12


GM:一回くらいなら救命草を使う時間もありますよ


タイズ: 救難草をもっているのでそれを使います

> HP回復: 威力50+1(レンジャー)+4(器用度ボーナス)→ 16


GM:これでHPも全回復ですね


ジルベルト:タイズが少しツヤツヤしてる


GM:それでは元気になったところで、グランドターミナル駅に到着します


--

 グランドターミナル駅は蜘蛛の子散らす大騒ぎだった。人々が構内から我先に逃げ出し、憲兵や職員があちこちで大声を上げている。おそらくスクルータが中で暴れているのだろう。

 ジルベルト、タイズ、ミカリの三人は人々の流れに逆らうように駅の中に入っていく。すると見覚えのある人物が担架で運ばれているのに気付いた。

--


タイズ:「この方は確かルーニャ様を護衛していた女性騎士のはずです」


女性騎士(GM):「お前たちか。ぜぇぜぇ……情けないがこのザマだ」

GM:女性騎士は重傷を負ってはいますが会話が可能です


ジルベルト:「大丈夫か!?いったい何があったんだ?」


女性騎士(GM):「迂闊だった。敵はそこにいるミカリ殿と同じ姿で現れ、つい接近を許してしまった」


GM:研究所と倉庫内でスクルータはミカリと長時間一緒にいたので、ミカリの姿に変身可能だったんだね


ジルベルト:しまったー。その可能性を見落としていた!

タイズ:なるほど、考えましたね


タイズ:「ルーニャ様はご無事なのですか?」


女性騎士(GM):「ルーニャ様は非常階段から脱出された。しかしあの人のことだ。他の一般市民に危害が及ばぬよう、人気(ひとけ)のない場所に逃げるに違いない」


タイズ:「ご自身よりも周りの市民に配慮する姿勢、さすがルーニャ様でございます」


ジルベルト:「だが人気のない場所だと?グランドターミナル駅にそんな場所あるか?」


--

 ジルベルトとタイズは駅構内を見回す。どうやら人々は改札の中から逃げ出してきているようだ。

 改札内の人気のない場所。その答えは巨大な案内板に書かれていた。


『7番線と8番線 本日トラブルにより発着いたしません』

--


タイズ:「ジルベルト様、ミカリ様。あの案内板をご覧ください」


ミカリ(GM):「ええきっとそうです!ルーニャ様は使われていない7番線と8番線に逃げ込んだのです!」


女性騎士(GM):「気を付けろ。敵は遠距離から攻撃をしてきた。おそらく射程は50m以上あるはずだ」


タイズ:「それは大変厄介ですね。遠隔攻撃が得意なのであれば人々に紛れて市中に逃げるのが良いのですが、それはルーニャ様が良しとしないのでしょう」


女性騎士(GM):「お前たち、ルーニャ様を頼む。あの方はこの国の宝なのだ」


ジルベルト:「任せろ。ティダン様に誓ってこのジルベルト・モローが必ずやルーニャ卿を救ってみせよう!」


GM:かっこいいんだよなあ


GM:それでは皆さんは人々の流れに逆らって改札内に入り、7番線と8番線を目指します


ジルベルト:うおおお!!


--

 駅構内を走るとやがて人の姿がなくなり三人の足音だけが不気味なほどよく響いた。『7番線』と書かれた階段を駆け下りホームにたどり着くと、30mほど先にルーニャ卿が、そのさらに80m先にはミカリの顔をしたスクルータがいた。

--


GM:ルーニャ卿は二人のミカリに挟み撃ちされた形です。二人のミカリの顔を交互に見ては混乱しています


タイズ:しかも本物のミカリ様は強盗の血を全身に浴びていますからね


ジルベルト:まずいな。「おーい!」と手を振るが反応はどうだ?


GM:どちらに逃げるべきか迷っています


ジルベルト:だめかー


GM:しかし本物のミカリが「ルーニャ様!」と叫ぶと、ルーニャ卿は意を決して皆さんの方へ全力で逃げてきます

GM:そして次の瞬間、キュン!と空気を切り裂く甲高い音が鳴り、直前までルーニャ卿が立っていた場所に鉄の槍が突き刺さっています


ジルベルト:「おいおい、あれじゃスクルータの射程は80m以上だぞ」


タイズ:「あの遠距離攻撃は危険です。急いで逃げましょう」


GM:では皆さんは降りてきた階段を上り7番線のホームから脱出します。幸いにもスクルータの足はそこまで速くありません


ジルベルト:「誰かルーニャ卿を安全に逃がせる場所に心当たりはあるか?」


ルーニャ(GM):「8番線よ」


ジルベルト:「なに?」


ルーニャ(GM):「はじめから8番線に逃げ込むべきだったわ。8番線には魔動列車が停まっていた。それに乗って逃げるわよ」


タイズ:「ルーニャ様は列車を運転できるのでございますか?」


ルーニャ(GM):「私は大鉄道学舎の卒業生よ?列車の扱いはむしろ私の専門だわ」


--

 8番線ホームにたどり着くと確かに「回送」と書かれた列車が停まっていた。一同は急いで機関部に乗り込み、ルーニャが列車を起動させる。


 『コツン、コツン』とスクルータの足音が近づく中、ゆっくりと列車が動き始めた。

--


ミカリ(GM):「はやくはやく!来てます!すぐそこまで来てますって!」


タイズ:ロングバレルに持ち替えて外を警戒します


ジルベルト:「うおお!急げえええ!」


GM:キュン!と音を立ててルーニャ卿の横の壁に鉄槍が刺さります。しかし列車は加速を続け、無事にスクルータのいるグランドターミナル駅を脱出します


ジルベルト:「よかったあ……」


タイズ:「これで無事解決でございますね」


ジルベルト:「ちょっとタイズ!フラグを立てないで!」

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