ホーム

影津

ホーム

人のいないホームの水たまり


白線より下がってお待ちください


向かいのホームの僕が僕を見ている


ベンチに座ってしわの入った革靴を見下ろす


デトンデトン電車がやってくる


それを僕はやりすごす


人の降り去ったホームを風が吹き荒れる


白線より前に立ちつま先を出す


向かいのホームの僕が僕を見ている


僕が本当にいいのかと僕を見ている


もう少しベンチに座っていればいい


もう一本やりすごしてもいい


デトンデトン電車がやってくる


それに僕は……辛酸嘗めて乗り込んだ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ホーム 影津 @getawake

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ