第20話 好きなアニメは
そんなこんなでなんとか家を出発し、俺は集合場所である駅前へとバスを使って向かった。
やはり、日曜ということでみんな遊びに出かけようとしているのか、同年代くらいの利用者が多い。
男女グループだったり、カップルだったり、色々だ。
そうして、揺られること十分。
バスが駅前に到着し、そこで降りる。
降りたら、次に向かうのは時計台下だ。
LIMEでは、二人がまだかまだかと急かすようなチャットが届いている。
集合時間までまだ十分もあるってのに、ちょっと気が早い気がするんだけど……。
まあ、それだけ楽しみだってことだろう。
俺も結構楽しみだしな。
そんなことを考えつつ、進む足は早まり、時計台下に辿り着いた。
チャット通り二人は既にいて、小咲さんは近付く俺を見つけるや否や、その場でぴょんぴょん跳ねながら言ってきた。
「あ、遅いよ関谷くーん!」
「いやいや、ギリセーフくらいでしょ。集合時間まで……ほら、あと五分もある」
「集合する時は最低でも十分前でしょ? 友達と遊ぶ時は三十分前!」
「さすがに早すぎるよそれは!」
ボケのつもりなんて一ミリもなかったんだろうけど、ツッコむ俺を見て、三月さんはクスクスと笑っていた。
うーん、今日も可愛い。私服姿のワンピースだと、特にそれが顕著だ。
「まあ、無事三人とも集まれたわけだし、行きますか?」
「うん! まずは計画通り、一つ目のアニメショップに行こー!」
というわけだ。
小咲さんの掛け声通り、俺たちは、まずアニメショップに向かうことになった。
〇
「それでさ、関谷くんは普段どんなアニメ観たりするのー?」
アニメショップに向かう道中、小咲さんが目を輝かせて問うてきた。
この一週間ほど、小咲さんとはそれなりに会話したけど、こういう込み入った話というか、趣味とかに関する話はあまりしなかったので、ちょっと嬉しくなる。
なんだかんだ、三月さんともアイクラの話はしたけど、アニメの話とかはあんまりしないもんな。
「ん、俺はまあ……日常系が好きかな」
「ほうほう、日常系ですかー。それって、け●おんとか、ゆ●ゆりとか、そんな感じー?」
「そうそう。そうなんだけど、実はけ●おんもゆ●ゆりもしっかりは見たことなくてさ。アニメにがっつりハマったのが中二頃だし、時代的にはもっと最近の日常系が好きなんだよね」
「ふむ。たとえば?」
「小林さんちのメ●ドラゴンとか、旦那が何を言っているかわか●ない件とか」
「それって単純にクー●教信者さんのファンなだけじゃん! 確かにあの人の描く日常系は最高だけど!」
「ちなみにそろそろメ●ドラゴンは二期がくる。ファン待望だ」
「いや知ってるよ! なんていうかこう……もっと幅を持たせて好きな日常系アニメ言って欲しかったよ!」
「幅、かぁ……うーん」
そう言われると、パッと浮かんでこない。いや、もちろん好きな日常系アニメはもっと色々あるんだけど、絞り切れと言われるとなんか難しいのだ。これってやつを言ってやりたいし、もっと言えば共感してもらって語り合いたい。
「はぁ。まあいいや。確か三月ちゃんも日常系のアニメ好きだったよね?」
「え、そうなの?」
俺たちが一斉に問いかけると、三月さんは、はにかみながら頷いた。
「はい。私は……つくしちゃんにはもう言ったんですけど、からかい上手の高●さんとか……好きです」
「おぉー、高●さんかぁー」
初耳。ついでに言えば、小咲さんのこと『つくしちゃん』って呼んでるのも初耳。金曜日辺りまで『小咲さん』呼びだったのに。
……なんか先を越された気分だ……いいんだけど……。
そんなつくしちゃん呼びされた小咲さんは、どこかドヤ顔でうんうん頷いていた。
「そうそう。三月ちゃんは日常ラブコメが好きなんだよ関谷くん。原作のラノベとか、漫画も割と集めてるっぽい」
「え、そうなの?」
「は、はい」
「ついでに言えば、関谷くんみたいに偏食せず、しっかりと年代も多岐にわたって読んでるっぽい」
「マジか。すげえ、初耳」
「昔のだと……神●家族とか、好きです。はがない……僕は友●が少ないも好きです」
「え!? マジ!? 神●家族好きなの!? 俺もあれ大好きなんだよ!」
「あとは変態●子と笑わない猫も好きって言ってたよね」
「はい」
「ほぇぇ~! って、そう考えたら三月さんもM●文庫に結構集中してない!? 偏食気味になってるけど、小咲さん!?」
「何を言ってるの関谷くん。ちゃんと最初に三月ちゃんは高●さんも好きだって言ってたでしょ~?」
「あ、そ、そうか! ち、ちくしょぉー……」
こんな感じで会話は弾み、気付けばアニメショップに俺たちは到着していた。
いやあ、しかし嬉しいもんだ。まさか三月さんが神●家族好きとは。
主人公の性格は賛否両論ありそうな感じなんだけど、でもそれがまた中高生男子っぽくていいし、ヒロインの女の子も両極端な二人でいいんだよな。
今度、もっと三月さんに話を聞いてみよう。
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