薔薇色のシャツ着て


どうにもこうにも

やりきれない


鼻腔くすぐる

甘やかな香り


百年も生きてきたのに

金木犀の匂ひに紐付けられた

恋をひとつも思い出せないなんて


ありえない

ありえない


道端で拾って

お持ち帰りしてきた恋も

恋にちがいがあるじゃなし


フジの白根に降る雪も

先斗町に降る雪も


擦れ違いざま

キレイだねって

テレパシー送ってた

それも恋に数えていいですか?


息していることを

意識したら

息苦しくなったこと

ありませんか?


ビルディングから飛び降りたら

背の低い灌木の植栽や擦り切れて消えかけてる白線のアスファルトに吸い込まれるように可及的速やかにしかしなにやらスロウモウシヨンで炸裂しないまま


知らない世界線に

飛ばされたこと

幾度かありますよね


あなたもそういえば

どこかでお会いしたこと

あるような


もしかしてモトカノ?

だとしたら

あの時首絞めちゃって

ごめんなさい


ヒッチコキアンやないけど

フレンジー気取って思考停止

気づいたら馬乗りになって

両手で絞め殺してました


アッハッハ

楽しかったから

いいよね


断末魔の夏

お盆を過ぎたら

金木犀の季節がまた

すぐに巡ってきますよ


こんど

いつ会えますか?


薔薇色のシャツ着て

いつまでも

待っていますから






愛してる







それだけでも

伝えたくて

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